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てつがくカフェ

〈3.11以降〉読書会-震災を読み解くために-第21回

■ 日時:2015 年 2 月 22 日(日)17:00−19:00
■ 会場:せんだいメディアテーク 7f 会議室
■ 参加無料、申込不要、直接会場へ。課題本をご持参ください。
■ 問合せ:philcfsendaiaw@gmail.com (綿引)
■ 主催:せんだいメディアテーク、てつがくカフェ@せんだい
■ 助成:一般財団法人 地域創造

 

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この「読書会」について
「読書会」は、あるひとつの本を取り上げ、それを参加者みんなで一緒に読んでいくものです。この読書会では、ほかの人々と共に読むということを最大限活かし、ひとつの本に対する人々の多様な「読み方」を大切にします。そうして参加者どうしが協力し合い、触発し合って、〈震災〉という出来事を――それを直接に扱う「震災関連書」をひとりで読むだけでは辿りつけないようなところまで――深く「読み解く」ことができるような場でありたいと願っています。

 

課題本

『聖地Cs』木村友祐著、(新潮社)

※収録作品のうち、「聖地Cs」のみを取り上げます。

 

 

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〈3.11以降〉読書会—震災を読み解くために— の進め方
この読書会では、以下のフェーズ(段階)を順にすすんで、何回かにわたってひとつの課題本をじっくりと、深く読み解き対話することを目指します。
なお、ここでの対話は普段近しいひとたちとする何気ない会話とは異なります。それは、会話を下支えし、日常を円滑に進めている“根本的な”事柄にあらためて光を当てる言葉のやりとりです。

 

・解釈フェーズ
課題本の一部分を音読しながら、著者の主張を一つひとつ、みんなで丁寧に確認し、共有していきます。

 

・再考フェーズ
解釈フェーズで共有された本の理解を土台に、著者の主張、本で用いられた概念等々を問いなおし、意見を交換し合い、必要に応じて課題本に立ち返っていきます。

 

・対話フェーズ
最後にあらためて、課題本を読んでわたしたちの心を捉えたものについて、今度はみんなで一緒になって考えます。課題本を読む前には無かった視点と言葉で〈震災〉を見て、考え、話していきます。

 

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おしらせ

てつがくカフェ〈3.11以降〉読書会ー震災を読み解くためにー展示

■ 日時:2015 年 2 月 21 日(土)、22 日(日) 10:00-17:00
■ 場所:1Fオープンスクエア

てつがくカフェ〈3.11以降〉読書会ー震災を読み解くためにーの中で、「震災という出来事を読み解くために」「自由な観点から」参加者から紹介されたおすすめの本を、参加者がかいた紹介文とあわせて展示します。

みなさんからのおすすめのの本も教えてください。

 
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「震災を読み解くために」読書会の理念

この「読書会」は、あるひとつの本を取り上げ、それを参加者みんなで一緒に読んでいくものです。ほかの人々と共に読むということを最大限活かし、ひとつの本に対する人々の多様な「読み方」を大切にします。そうして参加者どうしが協力し合い、触発し合って、〈震災〉という出来事を――それを直接に扱う「震災関連書」をひとりで読むだけでは辿りつけないようなところまで――深く「読み解く」ことができるような場でありたいと願っています。

 

私たちは、読書会というかたちで本を読むことが、単にひとりで本を読むときには得られないような、格別の効果をもたらすものだと考えます。

 

第一に、あるひとつのテキストを巡る多種多様な意見や思いに触れることによって、自分ひとりの理解がいかに特殊なものであるかを知ることができます。これを反対から言えば、本を読む営みのもつ豊かさに気づくことができるということです。ふだん多くの人にとって、ひとつの本を巡る解釈について誰かと熱く語り合う機会などそうないのではないでしょうか? そうだとしたら、ふだん自分がどのくらい、特殊な読み方をしているのかもわからないはずです。それは「読みの複数性」と言い表わすことができるような、読むことのもつ豊かさを引き出せていないということです。さらにまた、テキストを共に読むことで、読書会に参加する人々の(ふだんは隠された)多様性や他者性――彼らが自分とは異なる人間であるということ――に気づくことができます。これも日常の当たり障りない会話においては得難い体験ではないでしょうか。

 

また、第二に、読書会に参加し、他の参加者と協力することによってテキストと真に向き合うことができるというのも、読書会のもたらす効果のひとつです。さらにこの読書会は、「震災を読み解くために」、あくまで〈震災〉という出来事と関連するテキストを取り上げる予定ですから、テキストと真摯に向き合い、共に参加する人々の力を借りながら、「自分なり」を超えた読み方で〈震災〉という出来事を見つめ直すことができるという点にも、この読書会に参加することの意義が見いだせるはずです。

 

私たちは読書会という読みのかたちがもつ特性を最大限活かしながら、深く〈震災を読み解く〉ということ、また、そのための〈読みの力〉を鍛え上げていくことを理念として掲げ、その実現へと向けた努力を――参加者の方々と共に――重ねていきたいと考えています。

〈3.11以降〉読書会-震災を読み解くために-第21回レポート

写真1

今回の読書会は木村友祐著『聖地Cs』(新潮社)を課題本とした読書会の三回目でした。一回目は物語を詳細に把握することを目標に、物語のプロットや登場人物の特徴について話し、二回目はそこからさらに、参加者の各々が個人的に、この物語や登場人物たちについてどう思うかを話してきたところです。

今回は、課題本を読んだ感想について意見を交わした後で、前回と同様、登場人物に関する個々人の“印象”を参加者の方々に語ってもらいました。そして最後には次回の対話につながるような「問い」を練り上げていきました。

写真2

今回新しく出たのは、「この著書は、独自の世界を作り続けている」といった感想や、「登場人物全員が主人公のようなものだから、物語の語り手である女性を“主人公”と呼ぶのは不適切ではないか」といった感想でした。

前回は語り手の女性、「広美」という登場人物が話題になりましたが、今回は被曝した牛を育て続けている「仙道さん」について、参加者各々の印象を述べていきました。仙道さんに対しては、例えば「自己満足で牧場を経営しているフシがある」とか「過去の幻影にすがって生きている」といったネガティブな印象を抱いた方もいました。

とくに、常日頃は牛を出荷している(ある意味で「殺している」)にもかかわらず、被曝によって殺処分が命じられたら、今度は牛を生かそうとすることが理解できないという方が何人かいました。

そこから次の問いが出てきました。仙道さんが牛を生かし続けるのは、商品としての価値に還元できない牛の「尊厳」を守るためなのか? しかしそのことは、それまでは商業用に牛を殺し続けていたことと矛盾しないのだろうか?

写真3

次回の読書会はこの問いについて考えるところから始め、さらにこの問いだけに縛られない、自由な対話をしていく予定です。課題本からは離れ、上に挙げた問いやそのほかの当日出た問いを主題として、てつがくカフェ読書会を行いたいと思います。

写真4写真5

報告:綿引周(てつがくカフェ@せんだい)

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