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てつがくカフェ

第46回「〈忘れる〉を問い直す」

■ 日時:2015 年 10 月 4 日(日)15:00-17:00
■ 会場:せんだいメディアテーク 7f スタジオa
■ ファシリテーター:辻 明典(てつがくカフェ@せんだい)
■ 参加無料、申込不要、直接会場へ
■ 問合せ:tanishi@hss.tbgu.ac.jp(西村)
■ 主催:せんだいメディアテーク、てつがくカフェ@せんだい
■ 助成:一般財団法人 地域創造

 

《今回の問いかけ》

ひとは、忘れる生き物です。

ついつい、いつのまにか…覚えていたはずのことを忘れることは、きっと誰にでもあるでしょう。年を重ねていけば、物忘れも増えてくるかもしれません。小さな子どもだって、学校の宿題や、大切な約束を、うっかり忘れてしまうこともあるでしょう。わたしたちのまわりには、忙しい、または坦々と進む日常にまぎれて、次第に忘れ去られていってしまうことだってあるかもしれません。あるいは、毎日の生活にいっぱいいっぱいで、大事なことであっても、忘れたふりをしたり…。

 

でも、とても大切な思い出、辛く悲しかった記憶…そんな忘れ難いことだってあるはずです。また、たとえばひとつの物事を、教訓として、後世に残すため、語り継いでいくために、自分自身や他者へ向けて「忘れてはいけない」とうったえかけることもあるでしょう。このとき、わたしたちは、なにを忘れまいとしているのでしょう。忘れられないことと、忘れ去られていくことのあいだには、一体なにがあるのでしょうか。

 

〈忘れる〉という言葉には、意味や捉え方の広がりがあるような気がします。今回のてつがくカフェでは、みなさんとの対話をとおして、〈忘れる〉とはそもそもどういうことなのかを、あらためて問うてみたいと思います。ぜひご参加ください。

 

辻 明典(てつがくカフェ@せんだい)


《てつがくカフェとは》

てつがくカフェは、わたしたちが通常当たり前だと思っている事柄からいったん身を引き離し、そもそもそれって何なのかといった問いを投げかけ、ゆっくりお茶を飲みながら、「哲学的な対話」をとおして自分自身の考えを逞しくすることの難しさや楽しさを体験していただこうとするものです。
てつがくカフェ@せんだい http://tetsugaku.masa-mune.jp

第46回てつがくカフェ「〈忘れる〉を問い直す」レポート

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今回は〈忘れる〉とはどういうことか、その意味や意義を探る形の対話となりました。

はじめに、参加者の方々から〈忘れる〉ことについて思ったことを自由に話していただきました。

すると、〈忘れる〉とは「(自分が気にしなくなって)思い出せなくなること」、「(周囲が話題に出さなくなり)風化すること」という意見が出されました。〈忘れる〉には、自分自身が忘れることと、周囲に忘れられてしまうことといった意味合いがあるようです。

そこからは、主に自分自身が忘れることについて対話が進んでいきました。

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まず、〈忘れられること〉と〈忘れられないこと〉について。

忘れられることは正しかったこと、自分が納得できたことであり、忘れられないことは後悔していることなどネガティブなものだという意見が出されました。

また、忘れることは自分を守る手段だという意見も出されました。直接向き合い難い物事から距離を置くという考え方です。

このほか、個人を越えた大きな物事に関しては、(個人として前述のように忘れても)集団としては忘れない形もあるという指摘もありました。

また、〈忘れる〉とは、字のごとく心を亡くすことだという意見が出された一方で、それはネガティブ・ポジティブ表裏一体のものではないかという意見も出されました。

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そして、〈忘れない〉ということについて。

ここでは、忘れられなくてもぐるぐると考えていくうちに、その物事を客観視できるようになってくるという意見が出されました。

また、ある方は、民話などを例に挙げ、現実をありのまま覚えるのが辛すぎるときに別の話をつくりその中に想いを託すこともある。〈忘れる〉とは別な形で覚えておくことでもあるのではないかという意見を出されました。

さらにそのことから、〈忘れる〉とはある物事をいったんばらばらにすることでもあり、それを別な形で「物語化」し再構築することでもあるのではないかとの意見がありました。

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以上のような対話をふまえ、〈忘れる〉というテーマをより深く考えていくためには、どのようなキーワードが挙げられるか考えていきました。

・物語
・距離感
・納得
・営み/状態
・制御できない
・興味・関心・こころ
・優先順位

〈忘れる〉という言葉から上記のようなキーワードが出され、対話をする前の〈忘れる〉の印象とはまた違った切り口を見出すことができました。

ここで時間となりましたが、これらのキーワードが出たことで、参加者それぞれが〈忘れる〉について、さらに深く考えていく材料となりました。

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報告:三神真澄(てつがくカフェ@せんだい)

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