考えるテーブル

お問い合わせ

せんだいメディアテーク
企画・活動支援室
980-0821
仙台市青葉区春日町2-1
tel:022-713-4483
fax:022-713-4482
office@smt.city.sendai.jp
←前のページへ

てつがくカフェ

第17回「展覧会『螺旋海岸』からもっと考える」(アート・要約筆記つき)

■ 日時:2012 年 12 月 23 日(日)15:00−17:00
■ 会場:せんだいメディアテーク 1f オープンスクエア
■ 参加無料、申込不要、直接会場へ
■ 問合せ:tanishi@hss.tbgu.ac.jp (西村)
■ 主催:せんだいメディアテーク、てつがくカフェ@せんだい

 

=========================================
「見えていなかったものを見たような気がした」
「土着的なものを見せられた気がする」

2012年11月25日に開催された展覧会「螺旋海岸」から考える「てつがくカフェ」では、こうした〈見る〉ことや〈土地〉にまつわる問題が、〈現実〉、〈日常〉、〈タブー〉、〈祝祭的〉といった言葉とともに噴出しました。そして、「そもそも写真を見るとはどういうことなのだろう」、「日常で見落としているものとは何なのだろう」、「タブーの根っこはどこにあるのだろう」といった様々な問いを参加者のみなさんとともにつくりあげていきました。
今回のてつがくカフェは、その第2弾になります。
自分では思いつかなかったような他者の考えに触れ、それを通して自分自身の考えが新たに紡ぎだされる面白さをぜひ体験してください!今回が初参加という方でも大丈夫です。みなさまのご参加をお待ちしております。(てつがくカフェ@せんだい)

今回の「てつがくカフェ」(アートてつがくカフェ)は
参加者間での〈対話〉をとおして、取り扱う(芸術)作品のテーマを粘り強く手繰り寄せ、共有し、それに対する自分自身の考えを逞しくしていく試みです。
*アーティストやゲストを招いての作品理解に関するセミナーではありません。またそれは、いわゆる美術評論の立場に立った作品理解や作家論を述べ合う場でもありません。(今回の作品で言えば、志賀理江子さんの過去の作品との比較に基づいた作品論や、撮影の技術論などを詳細に議論し合うことがここでの目的ではありません)。議論の方向性が、その場に居合わせた参加者どうしの〈対話〉によってのみ方向付けられていくというライブ感こそが、「てつがくカフェ」の魅力です。
=========================================

「志賀理江子 螺旋海岸」について
写真家・志賀理江子が、2008年に名取市の北釜に移り住み、震災を経てこれまでに制作した全作品による展覧会です。昨年度の連続レクチャーやプランの展示を経て、6階ギャラリーの全域に展開した自立する写真群は、土地と共にある暮らしと表現とは何かについて、写真をとおして志賀が探求してきた大きな問いの集合です。それら約240点の作品は多くの困難を抱えながらある現在の私たちの社会に切実な声として届くことでしょう。
http://www.smt.jp/rasenkaigan/
=========================================

てつがくカフェとは
てつがくカフェは、わたしたちが通常当たり前だと思っている事柄からいったん身を引き離し、そもそもそれって何なのかといった問いを投げかけ、ゆっくりお茶を飲みながら、「哲学的な対話」をとおして自分自身の考えを逞しくすることの難しさや楽しさを体験していただこうとするものです。

てつがくカフェ@せんだい http://tetsugaku.masa-mune.jp

第17回てつがくカフェ「展覧会『螺旋海岸』からもっと考える」レポート・カウンタートーク



2012年11月25日に開催されたてつがくカフェ「展覧会『螺旋海岸』から考える」の第2弾となる今回は、3分の2以上が初参加の方でした。スタッフより、前回のてつがくカフェで交わされた対話の流れを提示し、今回の展示の舞台となった名取市北釜の方々が展覧会に来られた時の率直な(「見ていたい」「離れられなくなる」「(黒い写真を見て)これは心の眼だ」といった)感想を紹介した後、参加者間でゆっくり、じっくりと感想を述べていくところから会は始まりました。



「写真は見るものであるが、逆に見られていると感じることで気味の悪さや怖さを感じた」。「においや重さ、ざらざらとした手触りといった視覚以外の感覚が沸き立つことで異様な感じを受け、写真を見ているうちに自分の中に迷い込む感じがあった」といったネガティブなニュアンスで語られる一方、「好奇心が掻き立てられる」、「落ち着く」、「1枚1枚が圧倒的な美しさを放っており、自然を前にした時にも感じるような畏怖の念を抱いた」など比較的ポジティブな意見も見られました。他にも、写真(という存在)そのものが何かを際立させていく上での〈障り〉となるのではないかという意見や、普段無いものが散りばめられていることで逆に〈あたりまえ〉を意識したという意見もありました。

そして、怖さ/好奇心/あたりまえ/畏怖の念/落ち着く/迷う/存在感/繰り返し/といったキーワードを拾いあげ、これらを貫く軸となる言葉を探していきました。
ある参加者は、それは〈死〉であるといい、またある参加者は〈ざわつき〉だといいます。中でも〈ざわつき〉を挙げた方は、「写真を観ての感想は人によって随分異なるが〈ざわついている〉という点では一致している。いったい何に〈ざわついている〉のか、何に脅かされているのかはわからないが〈ざわつき〉としてまとめてみてはどうか」と。
なるほど、これは面白い視点です。





次に、この〈ざわつき〉というキーワードを軸にしながら「〈ざわつき〉は〈動く〉からこそ〈日常(あたりまえ)〉が問題になるのではないか」とか、「写真を視るという経験は〈視覚〉であるが、他の感覚も〈動き〉出すということで〈ざわつき〉と関係しているのではないか」といった、いくつかの問いを整理しながら、最終的に「〈ざわつき〉とは何か」と「〈ざわつき〉をどう活かすのか」という問いに絞っていきました。
ある参加者は〈ざわつき〉とは、日常の不安定さや死への抵抗を示しているといいます。
人は誰しも死に対する恐れがあり、その抵抗心から何かしら心が〈ざわつく〉のだと。また、他の参加者からは、自分に知らないことがあるという意味で〈ざわつき〉を感じるといい、この場合の〈ざわつき〉は健やかな〈ざわつき〉ではないかといいます。
次の「〈ざわつき〉をどう活かすか」という問いに対しては、〈ざわつき〉を消そうとするのではなく、在りのまま受け入れることや、〈ざわついた〉時こそ、自分の価値観を修正するチャンスと捉えるべきといった、前向きな発言が相次ぎました。

残念なことに今回はここで時間切れとなってしまいましたが、前回、今回と参加者の発言を聴いていて、私たちは志賀さんの写真から沢山のことを〈感じ/考えて〉いること、またその思いを何とか自分のことばで表現しようとする時の苦しさと、自分とは異なる他者の考えに触発され自らの考えが更新されてく面白さを実感することが出来ました。
おそらく、まだまだ、話は尽きないことと思います。
また、ぜひ次回のてつがくカフェで〈考える〉ことの面白さを体験しに来てください。お待ちしております!

報告:近田真美子(てつがくカフェ@せんだい)



板書のまとめ



※写真をクリックすると大きくなります。

-------------------------------------------------------------------------------------------------------

◎第17回「展覧会『螺旋海岸』からもっと考える」カウンタートーク

カフェ終了後に行ったスタッフによる延長戦トークです。以下より視聴できます。

ゲスト:志賀理江子(写真家)




=========================================

展覧会『螺旋海岸』の感想ツイートなどのまとめ

http://togetter.com/li/422728

トピックス