〈3.11以降〉読書会-震災を読み解くために-第14回
■ 日時:2014 年 6 月 22 日(日)17:00−19:00
■ 会場:せんだいメディアテーク 7f スタジオa
■ 参加無料、申込不要、直接会場へ。課題本をご持参ください。
■ 問合せ:philcfsendaiaw@gmail.com (綿引)
■ 主催:せんだいメディアテーク、てつがくカフェ@せんだい
■ 助成:財団法人 地域創造
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この「読書会」について
「読書会」は、あるひとつの本を取り上げ、それを参加者みんなで一緒に読んでいくものです。この読書会では、ほかの人々と共に読むということを最大限活かし、ひとつの本に対する人々の多様な「読み方」を大切にします。そうして参加者どうしが協力し合い、触発し合って、〈震災〉という出来事を――それを直接に扱う「震災関連書」をひとりで読むだけでは辿りつけないようなところまで――深く「読み解く」ことができるような場でありたいと願っています。
課題本
『社会を変えるには』小熊英二(著)、講談社現代新書 ※第5章と第6章を中心に
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〈3.11以降〉読書会—震災を読み解くために— の進め方
この読書会では、以下のフェーズ(段階)を順にすすんで、何回かにわたってひとつの課題本をじっくりと、深く読み解き対話することを目指します。
なお、ここでの対話は普段近しいひとたちとする何気ない会話とは異なります。それは、会話を下支えし、日常を円滑に進めている“根本的な”事柄にあらためて光を当てる言葉のやりとりです。
・解釈フェーズ
課題本の一部分を音読しながら、著者の主張を一つひとつ、みんなで丁寧に確認し、共有していきます。
・再考フェーズ
解釈フェーズで共有された本の理解を土台に、著者の主張、本で用いられた概念等々に問いなおし、意見を交換し合い、必要に応じて課題本に立ち返っていきます。
・対話フェーズ
最後にあらためて、課題本を読んでわたしたちの心を捉えたものについて、今度はみんなで一緒になって考えます。課題本を読む前には無かった視点と言葉で〈震災〉を見て、考え、話していきます。
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「震災を読み解くために」読書会の理念
この「読書会」は、あるひとつの本を取り上げ、それを参加者みんなで一緒に読んでいくものです。ほかの人々と共に読むということを最大限活かし、ひとつの本に対する人々の多様な「読み方」を大切にします。そうして参加者どうしが協力し合い、触発し合って、〈震災〉という出来事を――それを直接に扱う「震災関連書」をひとりで読むだけでは辿りつけないようなところまで――深く「読み解く」ことができるような場でありたいと願っています。
私たちは、読書会というかたちで本を読むことが、単にひとりで本を読むときには得られないような、格別の効果をもたらすものだと考えます。
第一に、あるひとつのテキストを巡る多種多様な意見や思いに触れることによって、自分ひとりの理解がいかに特殊なものであるかを知ることができます。これを反対から言えば、本を読む営みのもつ豊かさに気づくことができるということです。ふだん多くの人にとって、ひとつの本を巡る解釈について誰かと熱く語り合う機会などそうないのではないでしょうか? そうだとしたら、ふだん自分がどのくらい、特殊な読み方をしているのかもわからないはずです。それは「読みの複数性」と言い表わすことができるような、読むことのもつ豊かさを引き出せていないということです。さらにまた、テキストを共に読むことで、読書会に参加する人々の(ふだんは隠された)多様性や他者性――彼らが自分とは異なる人間であるということ――に気づくことができます。これも日常の当たり障りない会話においては得難い体験ではないでしょうか。
また、第二に、読書会に参加し、他の参加者と協力することによってテキストと真に向き合うことができるというのも、読書会のもたらす効果のひとつです。さらにこの読書会は、「震災を読み解くために」、あくまで〈震災〉という出来事と関連するテキストを取り上げる予定ですから、テキストと真摯に向き合い、共に参加する人々の力を借りながら、「自分なり」を超えた読み方で〈震災〉という出来事を見つめ直すことができるという点にも、この読書会に参加することの意義が見いだせるはずです。
私たちは読書会という読みのかたちがもつ特性を最大限活かしながら、深く〈震災を読み解く〉ということ、また、そのための〈読みの力〉を鍛え上げていくことを理念として掲げ、その実現へと向けた努力を――参加者の方々と共に――重ねていきたいと考えています。
〈3.11以降〉読書会-震災を読み解くために-第14回レポート
≪今回の課題本≫
小熊英二著『社会を変えるには』(講談社現代新書)
※主に第5章と第6章
≪今回の読書会の報告≫
①はじめに資料を使って読書会の趣旨と進め方、心がけて頂きたい点を確認しました(資料1参照)。
②第5章、第6章の論述の前提となる第4章の論述の要点を簡単に確認しました。特に文中に登場する「正統性」、「代議制民主主義」、「民主主義の危機」といった言葉の意味を確認しました(資料2参照)。
③第5章、第6章の著者の主張についての理解を皆で共有する作業に入りました。チラシの<解釈フェーズ>に当たる部分です。
第5章は、近代思想がどのように近代の代議制の自由民主主義へと結び付いたのか? という問いの答えを探すかたちで読み解いていきました。
第6章では著者が述べる「二十世紀の思想の流れ」を押さえ、そのうえで著者が提案する「代議制民主主義の再活性化」の方途を確認しました。
当日第5章、第6章の内容を確認する際に用いたのが資料3です。
<解釈フェーズ>では、論述の要となる箇所を音読しつつ読み進めました。音読することで、「いまここについて話している」という意識を参加者の間で共有することが上手くできたと思います。
今回の読書会はあくまで「著者の主張を押さえる」という<解釈フェーズ>の作業に専念したため、個々の意見や問いを掘り下げて展開することがなく、参加者の方たちには不自由な感触を残したかもしれません。それは①で確認した、多様な読み方を大切にするという読書会の理念に反するようでもありますが、<解釈フェーズ>は今後の対話のための皆さん共通の土台作りであり、自分に馴染みにくい言葉や思考を一端受け入れ、理解を試みる段階でもあります。ここで感じられる不自由さを通り抜けてこそ、全体として良い読書会になると考えています。
参加者の方からの興味深い発言としては、たとえばデカルトの思想の宗教的背景や、日本における「六十八年」についての問いがありました。次回突入する<再考フェーズ>や<対話フェーズ>でそれらについて再び取り上げられればと思います。
報告:綿引周(てつがくカフェ@せんだい)
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