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こえシネマ

こえシネマ第4回「それぞれの距離に触れて」

日時:2013 年 3 月 2 日(土)18:00−20:30
会場:せんだいメディアテーク1F オープンスクエア
参加無料(申込不要)直接会場へお越しください。
主催:映像サーベイヤーズ/せんだいメディアテーク

2011年3月11日から間もなく2年を迎えようとしています。こえシネマでは、これまで震災にまつわる映像を通じて参加者同士が話を交わすことで、震災当時のことと現在を改めて見つめてきました。
今回は、「3がつ11にちをわすれないためにセンター」に参加して映像を撮っている方々をゲストに招き、撮った映像を見ながら、この2年間のそれぞれの思いを参加者とともに語り合います。

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ゲスト
杉本健二 鈴尾啓太
上映作品
「過去を見直して、今を見つめる」(一部上映)
制作:杉本健二
撮影地:宮城県石巻市、女川町

作品説明:思っていてもなかなか伝わらないこと。気づかなければ何も知らないこと。被災地石巻の現状を知り、向き合うことで見えてくる現実とは。友人の故郷を追いかける中で移りゆく心情と胸に秘めた想いを探る。
 
「沿岸部の風景」(一部上映)
監督:鈴尾啓太
撮影地:岩手県陸前高田市/宮城県南三陸町、女川町、名取市/福島県南相馬市

作品説明:そこはだだっ広い。その中で彷徨う。失ったもの、取り戻す、作業。墓を探す女。ヘドロをかき分ける男。たむろするヤンキー。迎えを待つ男。バラックを作る男。毎朝花に水をやる女。手の動き、皺、目、腰。ゆるやかな時間の中に佇む姿の素朴さと美しさ。
 
「仙台のがれき撤去」(一部上映)
監督:高野裕之
撮影地:宮城県仙台市宮城野区、若林区

作品説明:仙台市からがれき撤去の要請を受けた仙台建設業協会員建設会社のがれき撤去作業の記録です。
 
「測量技師たち」(13分)
監督:志子田勇
撮影地:岩手県陸前高田市

作品説明:世界の位置を測り、新たな街を築くために。六人の測量技師たちは荒野となった街に踏み入る。しかし、ここから一体何を描けばいいというのか。映画に何ができるのか?その発端はこの映画の主題でもあり、彼らが測量機材を覗く様は、戸惑いを含めた自分の姿でもある。
 
*一部上映の作品は10分程の上映を予定しています。
*上映内容は、都合により変わる場合があります。
*「こえシネマ」の中で一部上映する作品は、3月1日~3日まで開催される「としょかん・メディアテークフェスティバル~みんなの収穫祭~」の中で全編上映いたします。また、映像サーベイヤーズの高野裕之と志子田勇が制作した他の作品も上映いたします。スケジュールは下記『こえシネマ関連上映日程(PDF版)』をご参照ください。
『こえシネマ関連上映日程(PDF版)』

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こえシネマとは
2011年3月11日から1年以上がたった今、人の中で埋もれたままになっている言葉を、映像を見て感想を語り合うことで掘り起こしたいと思っています。「被災地」と呼ばれながら様々な状況にある各地域、東北から遠く離れた場所、人と人の間、時間の経過など、今の私たちを取り巻くいろいろな形の「距離」を上映の大きなテーマにしつつ、参加者が自由に話す場を作ることで、「震災後を生きる」個人の声を記録に残していきます。
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映像サーベイヤーズとは
震災後に映画でつながった吉田文恵(OL)、高野裕之(建設業)、志子田勇(映画作家)、村田怜央(劇場スタッフ)の4人による上映会チームです。上映会の原点に返りつつ、新しい上映会をつくる団体を目指しています。
映像サーベイヤーズ ブログ
http://koecinema.blogspot.jp/
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問合せメールアドレス(映像サーベイヤーズ): koecinema@gmail.com

第4回こえシネマ「それぞれの距離に触れて」レポート


日時:2013 年 3 月 2 日(土)18:00−20:30
会場:せんだいメディアテーク7F スタジオa
主催:映像サーベイヤーズ/せんだいメディアテーク

ゲスト 杉本健二 鈴尾啓太

上映作品
「過去を見直して、今を見つめる」
制作::杉本健二
撮影地:宮城県石巻市、女川町

「沿岸部の風景」
監督:鈴尾啓太
撮影地:岩手県陸前高田市/宮城県南三陸町、女川町、名取市/福島県南相馬市

「仙台のがれき撤去」
監督::高野裕之
撮影地:宮城県仙台市宮城野区、若林区

「測量技師たち」
監督:志子田勇
撮影地:岩手県陸前高田市

「迷走する柳の葉を追いかけんとする熊の子」
制作:中谷可奈
撮影地:宮城県仙台市ほか

こえシネマ第4回は、3月1日から3日までせんだいメディアテーク7階で行われていた「3がつ11にちをわすれないためにセンター映像作品上映」と連携した形をとり、同センターに納められた映像から5本を上映し、撮影者の方にも会場でお話を伺いました。

まず前半は、これまで毎回こえシネマで取り上げてきた、陸前高田で撮影されたフィクション作品『測量技師たち』から始まり、次に仙台市沿岸部のがれき撤去の作業と蒲生地区のがれき処理場を撮影した『仙台のがれき撤去』の15分ほど抜粋した映像と、現在、仙台でノイズ音楽をやっている男性を主人公に、震災当時、東北にいなかった人と震災との関わりを映した『迷走する柳の葉を追いかけんとする熊の子』を上映しました。

後半は、石巻出身の友人を案内役に大川小学校など石巻と女川を巡って記録した『過去を見直して、今を見つめる』と、岩手県・宮城県・福島県の沿岸部の人と風景の記録『沿岸部の風景』を、いずれも15分ほど一部抜粋の形で上映しました。

今回の撮影者は、仙台出身で現在も住んでいる高野さん、東京在住の鈴尾さん、志子田さん、震災当時はロンドンにいて震災後に仙台で就職した中谷さん、愛知県出身で進学のため震災後に仙台に住むようになった杉本さんと、被災地との関わり方がそれぞれ違っていて、高野さんから「他の人たちの記録では、自分が実際に知っている場所が見たこともない世界のように見えるところがあった。それは、僕が被災地にいても全然見えていない部分があって、被災地外の人でないと見えない部分があるのではないかと思った」という感想が出てきたことは興味深い点でした。

とはいえ、今回上映した5本を振り返ってみると、「被災地に住んでいる/いない」といったことや「自分の目で見ていること/テレビなどのマスコミを通して目にすること」といった、こえシネマ開催のテーマでもある、何かと何かの間にある「距離」がただ明確になるというよりは、鈴尾さんが「報道からこぼれる“情報”でないもの、言語化されにくいもの、仮に僕じゃなくても誰かそこにいたら目にするであろうものを撮る必要があると思っている」と話していたように、それぞれの映像から「距離」であるとか「間」をどうにかして埋めようとする姿勢が垣間見えていたように思います。

そういった中で、何人かの撮影者が「震災という出来事をわかったように撮りたくなかった。人によって震災の経験もバラバラ、地域によって問題も違っている中で、言語化や断定するのではなく、模索や考えるきっかけとして映像を撮った」と、共通する話をしていたのは印象的でした。
そういう映像に対して疑問を投げかける声も会場からは聞かれましたが、静岡に住んでいるという方からは『迷走する柳の葉を・・・』について「私は、被災地に対して自分に何ができるのかという葛藤のようなものを抱えているが、映像にそういったことがストレートに出ていて共感するところがあった」という感想がありました。

トークの最後の方には震災から2年が経過した今、映像で記録していくという活動を今後どう続けていくかといった話や、わすれンのこの2年間の振り返りと集めた記録の活用方法などについての話がありました。そこに、見る側の記録映像の役割に対する期待の声も交わり、見る側と撮る側がフラットに話す場であるこえシネマの、次年度への課題や可能性も見えてきた回となりました。

報告: 映像サーベイヤーズ 吉田文恵









※このレポートは、映像サーベイヤーズのこえシネマブログにも掲載しております。
ブログ: http://koecinema.blogspot.jp/

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こえシネマとは
2011年3月11日から1年以上がたった今、人の中で埋もれたままになっている言葉を、映像を見て感想を語り合うことで掘り起こしたいと思っています。「被災地」と呼ばれながら様々な状況にある各地域、東北から遠く離れた場所、人と人の間、時間の経過など、今の私たちを取り巻くいろいろな形の「距離」を上映の大きなテーマにしつつ、参加者が自由に話す場を作ることで、「震災後を生きる」個人の声を記録に残していきます。

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映像サーベイヤーズとは
震災後に映画でつながった吉田文恵(OL)、高野裕之(建設業)、志子田勇(映画作家)、村田怜央(劇場スタッフ)の4人による上映会チームです。上映会の原点に返りつつ、新しい上映会をつくる団体を目指しています。
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