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3.11キヲクのキロク

3.11 キヲクのキロク 公開サロン 第14回 「3月12日はじまりのごはんーいつ、どこで、なにたべた?ー」

■日時:2014 年 11 月 15 日(土)15:00-17:00
■会場:せんだいメディアテーク 7f スタジオa
■参加無料、申込不要、直接会場へ
■問合せ:NPO法人20世紀アーカイブ仙台
tel 022-387-0656 fax 022-387-0651
URL: http://www.20thcas.or.jp/
■主催:NPO法人20世紀アーカイブ仙台、3がつ11にちをわすれないためにセンター(せんだいメディアテーク)
■助成:一般財団法人 地域創造
■関連企画:
〈ラウンジ展示〉3月12日はじまりのごはんーいつ、どこで、なにたべた?ー

■関連展示:街からの伝言板(仙台市震災メモリアル・市民協働プロジェクト「伝える学校」)

あなたは地震の翌日、なにを食べましたか?

公開サロンでは、震災の記録写真を撮影した市民の方々をゲストに迎え、期間中会場に展示した写真に寄せられたお話しをもとに、被災後どう暮らしていたか、来場者の皆さんと一緒に語り合います。



これまでの公開サロンについては、3がつ11にちをわすれないためにセンターのウェブサイトをご覧ください。3.11定点観測写真アーカイブ・プロジェクト(3がつ11にちをわすれないためにセンター内)
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3.11 キヲクのキロク 公開サロン 第14回 「3月12日はじまりのごはん―いつ、どこで、なにたべた?―」レポート

写真1
10月1日から開催していた「3月12日はじまりのごはん」会期中にあわせ、第14回目となる公開サロンは、「3月12日はじまりのごはん―いつ、どこで、なにたべた?―」をテーマとし、3名のゲストをお招きしました。

写真2 写真3
以前、開催した公開サロンの中で、家族で食事をしている写真を紹介しながら「震災後初めて食べたものは何でしたか?」と参加者に伺ったところ、多くのみなさんがそれぞれの体験を話してくれました。震災から間もなく4年を迎えるいま、普段の生活で震災のことが語られることは少なくなってきているのが現状です。そんな中で、この公開サロンがスタートした時からの課題「震災の非体験者に3.11をどう伝えていくか」ということについて、まずは被災者が話をするところから始まるのではないかと考えました。
ではどうしたら話すことができるきっかけとなるのか。「食」を通して当時の生活を思い出すことで、震災体験を語ってもらう。生活に密着した話だからこそ、それを聞いた非体験者が震災を自分事として考えるきっかけになるのでは、ということでの試みが、この「3月12日はじまりのごはん」です。
震災や津波被災の酷さを伝えるだけではない、非日常が日常になってしまった「生活」の様子を写し撮った写真たちは、震災を体験していない方にとってもイメージしやすいものである、という発想からくるものでした。

写真4    写真5
公開サロンでは、震災後はじめて口にしたものは何だったか、参加者の方にそれぞれ付箋(ふせん)紙に書いてもらい発表していただきました。
仙台市内にお住まいの方は、11日の夜、家族に何かを食べさせたはずだが全く覚えていない、とのこと。数日後、家族が反射式の石油ストーブを持ってきてくれ、部屋に置いて暖を取りつつそこで煮炊きをした。子供が不安がっていたので、自らテンションを上げて楽しく料理をしていた、というお話をしてくださいました。
横浜からいらした方は、東京ディズニーシーに遊びに行って被災、電車もバスも不通の中、歩いて帰るしかないと決め、コンビニに立ち寄りながらも店には何も無く、ようやく友達の家に泊めてもらうことができたそうです。帰宅困難だった当日は被災した当事者意識があったのに、翌日電車が動き日常に戻ったときには、急に外の世界のできごとになってしまい、自分のことではなく感じてしまった、という話が印象的でした。

写真6 写真7
このように、「食」から引き出された話は、実際その場にいなくても、色んな様子が目に浮かびイメージしやすいのではないでしょうか。食べ物から引き出されたことが、当時の生活ぶりを引き出し、克明に語っていただくことができました。

体験談を聞き、オーラルヒストリーとして記録していくこと。それは写真や映像の収集と同様に、重要なポイントです。しかし、それはあくまでも「素材」であって、ではそれをどう「活用」していくのか、が重要になってきます。今回のように、写真をもとに多くの方が語り、聞き、そしてまた思い出す。更にそれをもう一度記録する。これが「震災アーカイブ」の持つ役割のひとつだと、改めて考えさせられる会となりました。

写真8
前回「3.11のための拠点づくりの必要性」についての話がありましたが、現在、仙台市では震災アーカイブの拠点を沿岸部と街中に2つ持つという提案がなされています。それぞれの役割がありますが、アーカイブ再生産を考えたときに、活動拠点こそが「語る場」の役割を持つべきではないかと感じています。今日のこのような場を持つことで、震災を体験した私たちでさえ普段なかなか語られなくなった震災のことを少しでも思い出してみる。それを誰かに伝え、また聞くことで改めて考えてみる。これをやり続けていくことが拠点の、特に街なか拠点のあるべき姿であるのかもしれません。

報告:NPO法人20世紀アーカイブ仙台

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