また出た!美術準備室
■ 日時:2012 年 7 月 8 日(日)13:00−15:00
■ 会場:せんだいメディアテーク 7階スタジオa
■ 参加無料 申込不要 直接会場へ
テーマ「大学の先生って学生の時何をしていたの?」
大学で美術を教える先生って学生の時、どんなことしていたのかな?影響を受けた作品って何だろう?恩師の存在ってどんなものなんだろう? 学校説明会では聞けない先生の魅力を聞き出してみよう!きっと等身大の「学生だった先生」が見えてくるはず。
今回で二回目となる美術準備室では、そんな「学生だった先生」を先輩としてお迎えします。
「美術」一歩手前の「準備室」で先輩方とおしゃべりしましょう。
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今回登場する先輩
■ 森 敏美 先輩
絵画/東北生活文化大学
1954年 大阪府生まれ
1981年 東京藝術大学大学院美術研究科壁画専攻修了
■ 荒井 俊也 先輩
彫刻/東北工業大学
1961年 岩手県生まれ
1987年 東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了
■ 平垣内 清 先輩
版画/宮城教育大学
1964年 広島県生まれ
1995年 東京藝術大学大学院美術研究科版画専攻修了
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美術準備室とは
美術室の隣にある「美術準備室」。石膏像やイーゼルが置かれていたり、顧問の先生の書斎になっていたり、美術部員のたまり場だったりする…。
架空の学校になぞらえた「はじめての美術準備室」というこの企画は、美術を真面目に勉強する「美術室」とは異なる場として、美術に関係あるようなないような何気ないおしゃべりをしてみたり、思いつきで「美術っぽい」ことをしてみたり、いろんな人が出入りできるたまり場をつくりたいと考えています。今回は手始めに、仙台に暮らす、ちょっと面白い美術人と気軽におしゃべりできる場をひらいてみます。
美術準備室のウェブサイトhttp://w.livedoor.jp/artcafe/
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主催:せんだいメディアテーク/美術準備室活用委員会
問合せ:TEL/FAX 022-224-5308、メール sb@md-sendai.com(美術準備室活用委員会)
美術準備室「また出た!美術準備室」レポート
日時:2012 年 7 月 8 日(日)13:00−15:00会場:せんだいメディアテーク 7階スタジオa
テーマ「大学の先生って学生の時何をしていたの?」
2回目となる「また出た!美術準備室」では、大学で美術を教えている先輩方をお呼びしました。
それぞれ先輩の机に分かれ、コーヒーを片手に学生時代のお話や作品づくりについて、また教育者という立場の苦労話などが話題にあがり、話がはずんでいました。中には人生相談になったテーブルもあったようです。
参加者は21名ほど。司会進行の尾崎さんによる、絶妙な先輩紹介を平垣内先輩がまぜっかえし、森先輩と荒井先輩がつっこみを入れたり、おもしろいあいさつとなりました。そのあいさつで会場も和み、参加者のみなさんも気軽に質問をしたり、おしゃべりを楽しんでいたようでした。先輩との距離も近いため終始和やかな雰囲気でした。
■ 森 敏美 先輩
森先輩のテーブルでは、芸術大学志望の学生への入試に関わる具体的なアドバイスや、アートを如何に就職へつなげていくかという展望などについてお話し頂けました。
芸大志望の学生へは、まず同世代の作品を実際に見に行くことを強く勧められました。「みんな上手い、自分とは違う世界だ」と圧倒されてしまうか、「みんな上手い、自分も頑張ろう」と気概を持って作品を見るかが芸大受験の一つのボーダーラインになり、また、同世代の中での自分のレベルを知る機会にもなるということです。
そして、美術を就職につなげていくためには、「経済を知ること」が大切であると話されました。製品のデザインや広告戦略は商品の売れ行き、ひいては企業の業績を大きく左右する要素であり、これをしっかり押さえている企業が世界で市場を広げています。経済を学び、こうした知識を持っていれば、世界に意識を向けている意識の高い企業を探すことや、自分を売り込むことにつなげられるという大変興味深いお話でした。
美術を生業にしている先輩ならではのお話を、多く伺うことができました。
■ 荒井 俊也 先輩
まずは、テーブルに置かれていたインスタントラーメンの彫刻?から話が始まりました。本物のインスタントラーメンから型をとって作ったブロンズ製の彫刻 で、手に取ると小さいのにずっしりと重いのに驚きました。
*質問:「どうして、インスタントラーメンで彫刻を作ろうと思ったのですか?」
*荒井先輩:「うちにあった屋台十八番というインスタントラーメンがおいしくなくて、これをそのまま型にして使えると思いついて、インスタントラーメンのブロンズ像を作ってみたら、思いのほかよくできて、展覧会では話題になりました。」
*荒井先輩:「展覧会場から2回、作品が盗まれました。」インスタントラーメンが歩いている〈歩くサッポロ一番〉という作品を はじめ、色々なインスタントラーメンを型にして作ったそうです。
*質問:「学生生活はどのようでしたか?」
*荒井先輩:「片っ端から本を読んでいました。授業はさぼっても平気だったし、後半は寒くなってきて、ストーブを買うためにアルバイトを始めました。」「大学2年生で、彫刻の面白さに出会いました。まずは、粘土、次に石彫、石を彫るノミを自分で作るために鍛冶屋仕事を覚えました」
「好きなことを優先させながら、山の石切り場で合宿しながら 1カ月暮らしたり、チェンソーで木を切ったり、石膏に石、木と何でも取り組んでいました。」
*質問:「今、気になっている事は何ですか?」
*荒井先輩:「自然農法で野菜を作っています。黒電話に替えまし た。フィルムのカメラを使ったり、真空管アンプでレコードを聴いたり、アナログな生活に心ひかれています。」
「〈箱ふいご〉を見つけたので、修理しています。もののけ姫に出てくるような昔の〈たたら〉技術で金属を溶かしたり、七輪を使った鋳 物のワークショップを考えています。」
*質問:「大学では何をしていますか?」
*荒井先輩:「造形の基礎を教えています。」「大学では、アカデミックなことを教えています。スキルを身につけて、自分で学ぶ、 『学び方』を身につけて下さい。既存の価値観を壊すのがアートの力だと考えています。」
■ 平垣内 清 先輩
平垣内先輩のテーブルでは先輩の実際の作品から銅板、浪人時代の石膏デッサンまでもが広げられ、そのデッサンの見事さに思わず「藝大って何で受かるの?」という声。写真のように上手に描ける人?色感のいい人?先輩の答えは「ヘタでも熱い絵の人、自分を出し切った人が受かる。」だそうです。
「大学でアートは学べるの?」という問いには「大学の4年間をどのように使うかが大切。自分の求めるものが見えている人にとっては専門の勉強をすることによって枠を作ってしまうことがあるので大学で学ぶことが全てではない。ただ大学は出会い、つながりの場でありそこから制作することの意味を深めることが出来る。」ということでした。また教育者の立場からは「生徒が大学を出るとき、何を力として持たせるかが大事。」と心強い言葉をいただきました。
テーブルを囲む面々は作家活動をされている方が多く、「作家として生活するには?」「展覧会を開くにはどうしたらいい?」「制作のペースは?」など、先輩のお話を聞くだけでなく参加者みんなでお互いの情報や考えを交換しながらの楽しい時間となりました。
最後に
美術に携わる先輩と美術に関する話をしつつも、関係ないたわいもない話で盛り上がったり、「美術準備室らしい」場にだったと思います。
報告:美術準備室活用委員会(上原 菅原 八重樫 村上)
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