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せんだいメディアテーク
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くろい音楽室

第3回「赤べこレコーズのしらべ 〜クラブ歌謡曲〜」

■ 日時:2014 年 1 月 13 日(日)15:00−17:00
■ 会場:せんだいメディアテーク 7f スタジオa
■ 参加無料、申込不要、直接会場へ(先着30名)

■ 問合せ:miyagi.analog@gmail.com(宮城アナログ文化協会)

■ 主催:せんだいメディアテーク、宮城アナログ文化協会
■ 協力:東北大学学友会オーディオ研究部、東北学院大学ブラックカルチャー研究会、SOUL ON TOP、赤べこレコーズ

 

今回のくろい音楽室は、歌謡曲がテーマです。

like a 赤べこ。日本で製作された思わず首を振ってしまうような音楽の情報発信を続けている「赤べこレコーズ」がトークを交え、みなさんをちょっぴりマニアックな歌謡曲の世界へご招待します。

 

赤べこレコーズ
「like a 赤べこ=思わず首を振ってしまう」、そんな邦楽の音楽情報を発信しています。普段、なかなか邦楽に触れる機会の少ない人へきっかけを届けたい。そんな思いから活動しています。

https://twitter.com/Akabeko_Records

 

くろい音楽室とは
地元の音楽愛好家たちを交えながら、テーマに沿った「くろい音楽(ジャズ・ファンク・ソウル・ヒップホップ・ハウスなど)」について対話という手法を用い、自由な意見を交換する場です。今回は、「赤べこレコーズのしらべ~クラブ歌謡曲~」。like a 赤ベコ=日本で製作された思わず首を振ってしまうような音楽の情報発信を続けている「赤べこレコーズ」がトークを交え、みなさんをすばらしき歌謡曲の世界へご招待します。

 

宮城アナログ文化協会とは
魅力あふれるアナログ文化(レコード)をもっと広く、深く、知って、楽しんでいただくことを目的とする協会です。アナログ文化を次世代へ繋ぐ役割も積極的に取り組んでいます。

miyagi.analog@gmail.com

第3回くろい音楽室「赤べこレコーズのしらべ 〜クラブ歌謡曲〜」レポート

「クラブ歌謡曲」というちょっと風変わりなテーマを設け、初めてゲストを迎えた3回目のくろい音楽室。日本で製作された、思わず首を振ってしまうような音楽情報の発信を行っている「赤べこレコーズ」さんに、ちょっぴりマニアックな歌謡曲の世界をご紹介いただきました。併せて、歌謡曲に関するアナログレコードの展示なども行い、ターンテーブルでまわる大きな赤ベこ、怪しげに光り輝くミラーボールも企画に一役買ってくれました。また、来場者には「赤ベこレコーズ」さんがこれまでにインターネットで紹介した資料も配布されました。当日は風も強く、雪も散らつくような厳しい寒さに見舞われましたが、多くの来場者と共に音楽の話をすることが出来ました。

※レポートでは当日紹介した作品の中から一部の曲を紹介しています。

写真1

ゲスト:赤ベこレコーズ、モデレーター: 濱田(宮城アナログ文化協会)、アシスタント:原田(東北大学学友会オーディオ研究部)、司会: 高橋、音楽愛好家: 千葉(レコードショップJ&B元店主)・佐藤(SOUL ON TOP)、東北学院大学ブラックカルチャー研究会:鈴木・千葉・遊佐

 

:リアルタイムでその時代の音楽を聞いていた世代とそうではない世代。受け継がれていく音楽への思いが来場者の言葉から伝わってきました:

♪ 中村八大クインテット/月影のランデブー(1970年)

会場1「今日は色んな年代の方が見えていると思いますが、私は年代的にはビートルズがリアルタイムの世代。ですから、逆に皆さんの色んなお話がすごく新鮮なんですね。自分が今までずーっと聞いてきたからこそ気づきにくくなっている部分を、みなさんが新しい感覚で触れてくださるのが、すごく楽しみです。ちなみに今の中村八大さんの件ですけど、六八九コンビって、年寄りの方なら当然ご存知だと思うんですが」

赤べこ「僕も名前を聞いたことがあるくらいですね」

会場1「ええ。それほど年寄りの方がここにはいないようなので」

濱田「ぜひ代表して」

会場1「もう日本人として大尊敬。ただ、みなさん方が尊敬する必要はなくて、お互いに意見を出し合えれば、こうやって受け継がれていくんだなと」

濱田「僕らもやっぱり、そんなにリアル世代の方のお話を聞く機会がないので、聞けるだけでもね」

会場1「で、追加しますと、永六輔・中村八大・坂本九」

赤べこ「あー、いいですね」

会場1「この三人は私ら世代の思い出で、自分たちと切り離せない関係ですので、一応、歴史としてみなさんに知っておいて頂ければうれしいです」

赤べこ「リアルタイムで実際に六八九コンビの作品を聞いていらっしゃったんですか?」

会場1「それこそ、当時の音楽番組ザ・ベストテンにはどっぷりはまっていました。それを卒業してからは、だんだん自分のわからない曲がいっぱい出てきて」

赤べこ「だんだん追いつけなくなるっていうか」

会場1「だから、ここに並んでいるレコードは、自分がはまっていた時代の曲ばっかりです。ただ、そのあとのユーミンあたりからギャップを感じてます。あれはあれでいいんですけど。すみません、わたしだけたくさんしゃべっちゃって」

濱田「いえいえ、ありがとうございます」

千葉「わたしもビートルズ世代だから、今お話なさった方と同世代だと思うんですけども、NHKの<夢であいましょう>。“スキヤキ”で知られる坂本九の<上を向いて歩こう>もあの番組から出て、中村八大もたくさん曲を作っていましたよね。あれが今となれば非常に懐かしい。あとは永六輔・中村八大コンビ、“日本のうた”シリーズですかね、あれがすごい良くて」

 

:赤べこレコーズさんの音楽の好みや解釈からヒップホップと歌謡曲の共通点を垣間見ることが出来ました:

♪ 荒井由実/あなただけのもの(1974年)

赤べこ「僕の場合はリアルタイムではないんですけど、もともと山下達郎さんとかはっぴいえんど、シュガーベイブっていう方々の周辺の音楽が好きだったんですね。ティン・パン・アレイですとか、小坂忠さんとか。だから、そこを辿っていくと、どうしても荒井由実さんや吉田美奈子さんは避けて通れない方でもあるんです。それで、いろいろ曲を漁っているうちに、この<MISSLIM>という作品に出会って。まあ全曲かっこいいです。僕の場合、DJをしているということもあって、今まで培われたヒップホップ目線というか、クラブでこれはかけられる、かっこいいなっていうフィルターを通して曲の選別をしているところもあるんですけど、やっぱり<あなただけのもの>はすごい。今でもよくかけます。最初はみなさん、ずっと外国人の曲ばっかりかかってたのに、なんで突然日本のユーミンの曲がかかるんだろう?ってポカーンとしてたんですけど、かけ続けていくことで、だんだんと日本人の曲でもこうやってノって、踊って良いんだって。それが恥ずかしいことじゃないんだっていうふうに変わって。この前遊びに来てくれた方で、普段はあまりクラブに来ないという人も、クラブってイケイケな「イェーイェーイェー」みたいなヒップホップの音楽がかかってると思ったら、ユーミンとか山下達郎がかかるイベントもあるんだ!と。ブラックミュージック、クラブミュージックに接する機会が少ない方でも、聞いて頂けるようになれればね、幸いだと思います」

高橋「曲をかけている途中、佐藤さんが色々と反応してたので、ぜひ一言頂ければ」

佐藤「私51歳なんですけども、ユーミンはほとんど聞いてこなかったんです。で、最近そういう曲がクラブでかかるのを耳にしているんですが、先ほど赤べこレコーズさんが解説していたように、一番最初のドラムの部分、ビートがきいて踊りやすい。レコードを二枚使うのを、クラブの現場では二枚使いって言うんですけど、延々と繰り返してかけたり、大音量でそのドラムの部分だけ続けてかけたりすると、すごい気持ちがいいんですよね。DJの人はそういうことを工夫して、いかに普通のレコードをかっこよく聞かせるかを一生懸命考えてイベントをやってる方が多い。もうサウンド自体がほんとに素晴らしい。ユーミンのこの曲が74年のリリースというのも今はじめて聞いたんですが、その当時のアメリカのファンクと呼ばれる音楽、たとえばスライ&ザ ファミリーストーンですとか、ルーファス、タワーオブパワー、そういった音楽そのもので、ユーミンは最先端を見ながらサウンドを作ってたんだなーっていうのを、非常にびっくりしながら聞いてました」

千葉「あの~、赤べこさんがユーミンをかけたのは、意識して決めたことなの?今まで、ヒップホップとかファンクの選曲のなかで日本の曲をかけるっていうのは、ほんとに無かったよね」

赤べこ「音楽って、色々ジャンルが分かれてるじゃないですか。ヒップホップとかリズム&ブルースとか、ソウルとか。だけど、僕の場合はその括りがあまり無いんですね。ヒップホップをかけたあとにジャズをかけることもありますし。そういう意味では、ブラックミュージックというか、かっこいい音楽っていう括りで、自分の中で選曲をしてるんです。なんでしょうね…単純に、この曲はかっこいいなと思って、自分の感性で普段かけている選曲の中に取り込んでいる感じです。みんなどういう反応をするのかなって。ユーミンを取り込んだのもそうです。やっぱり、最初はポカーンとしてたんですけどね」

千葉「どうした赤べこさんと。間違えたかと」

赤べこ「そうですね。お前マッドリブのあとにユーミンてねーだろ、みたいな。ジェイディーかけたあとに、みたいな。だけど、僕からしたらぜんぜん違和感なくやっているんですよね。リズムだって、ズンズンター、ズンズンターみたいな感じじゃないですか」

千葉「日本のラップのグループをトライするっていうのはたくさんあるけど、ユーミンとか吉田美奈子とか、日本のファンクっぽい音楽を取り込むのはあんまりなかったから」

赤べこ「そうですねー。僕も海外の曲だけを探しているわけじゃないので、日本の曲は昔どういう曲があったんだろうなと探っていくと、中村八大もそうですし、勝新太郎とかショーケンとか、そういう系譜にもぶつかるんですよね」

 

:当時の言葉には独特な雰囲気がある、という意見に皆が頷いていました。また、洋楽からの影響も強く、それが今に繋がっているのではないかという意見もあがります:

♪ 小坂忠/流星都市(1975年)

赤ベこ「<ほうろう>というアルバムですね。男性の横顔がちらっと描かれている赤いジャケットです。まず最初にこれを聞いて思ったのが、『首ったけ」ってなんだろうと。そういう言葉をあんまり聞いたことがなかったんですね。たまにあるんですよね、靴のことを『ズック』って言ってるような、時代を感じる言葉の使い方って。『首ったけ』が醸し出しているグルーブが、僕にはすごく衝撃的でした」

濱田「言葉のグルーブってあるよね」

赤べこ「すごいあります。もう一気に持っていかれて。このアルバムは多分、今CDでも売ってるんですけど、もし機会があったらぜひ聞いて頂きたい作品ですね。<流星都市>は作詞が有名な松本隆さんで、(元)YMOの細野晴臣さんが作曲しております。このアルバムに関わってる人たちが、今はもう大御所といわれる方が結構多くてですね。ちなみに小坂忠を今日初めて聞いたっていう方はいらっしゃいます?あー、結構いらっしゃいますね。なるほど。じゃあ、今日実際に初めて聞いてみて、どう感じました?『首ったけ』ってどうですかね。ちょっと聞かせて頂きたいです。

会場3「『首ったけ』っていう言葉ですぐに思いつくのは、<ボビーに首ったけ>」

赤べこ「ありますね」

会場3「いつのことだか忘れましたけれども。1975年と言いますと、リアルタイムにこの曲を聞かれていた方って、この中に一体どのくらいいるかって話ですよね。とくに都市生活者じゃない方で。私は田舎の生まれでね、当時は三歳だったんです。その時代にこの曲をリアルタイムで聞ける人って、FM仙台はなかったし、ザ・ベストテンもまだ放送していなかっただろうし、レコード屋を探して、見つけた人だけだっただろうなと思いますね。あと、この曲は多分洋楽にインスパイア(感化)されて作られているのかな。今だからこそ楽しめたり再評価される曲になっているかなと思いました」

 

写真2写真3

 

:世代間のギャップが露わになります。それぞれ音楽の印象も異なり興味深い話が続きます:

♪ 大滝詠一/幸せな結末(1997年)

赤べこ「これを聞いて、すごい衝撃を受けたのを今でも覚えてるんですけど、若い方はこの曲は知ってますか?」

高橋「ちなみに、ブラックカルチャー研究会の20代前半の方々はどうなんでしょう?」

鈴木「知らないです」

赤べこ「あー、じゃあまったくもう」

鈴木「わからないですね」

赤べこ「そっか。もう違和感もない感じ?」

鈴木「違和感?」

赤べこ「聞いてわかる通り、AKBとかエグザイルとか、今の音楽とはぜんぜん違う音の鳴りをしてる感じはするんだけど、97年リリースの割には昔の音をしてるというか」

濱田「97年だけど、なんとなく思い描く“歌謡曲”みたいなニュアンスを帯びてるかなぁとは思う。冒頭で説明したムード歌謡曲の延長っていう解釈だと、あんまり違和感はないかなぁと。逆に、彼らは20代で若いから違和感を覚えにくいのもあるかもしれないんだけど、ブラックカルチャー好きだからさ、そもそも音楽遍歴が偏ってるんだよね」

赤べこ「それはまあそうだね」

濱田「だからその上で、初めて聞いた大滝詠一がどう映るのか聞いてみたいです」

高橋「この曲をはじめて聞いたっていう方、ほかにはいないですよね。この曲をドンピシャで聞いてたっていう30代くらいの方は?」

会場4「この曲はドンピシャで、自分が中学生くらいのときの曲なんです。97年というのは今知ったんですけど、その当時は、古い曲を使ってるんだと思ってました」

会場1「とくに新しいって感じはしません」

赤べこ「ちなみにこの曲が主題歌のドラマはご覧になってました?」

会場1「いえ」

赤べこ「この曲自体は聞いたことあります?」

会場1「あります。というより、今聞いてて、ああそっか、どっかで聞いたことあるなと思いました」

赤べこ「あ〜、じゃあフィル・スペクターとかを聞いていた流れもあるから、違和感もそんなに」

会場1「ないです。もともと大滝詠一本人も、こういうサウンドにどっぷり浸かっていたんじゃないですか」

赤べこ「そうだと思います」

高橋「そのサウンドに関してお隣のバップさんから一言」

佐藤「すいません、フィル・スペクターにぜんぜん縁がなくて申し訳ないんですけれども、大滝詠一さんは50〜60年代の音楽がすごく好きで、<はっぴいえんど>から自分のソロまで曲作りに取り入れてきたと。で、そういうサウンドは、おそらくブラックミュージック研究会の方々の狙うところからは少し外れると。ただ、ブラックミュージックなり50〜60年代のロックンロールあたりも、フィル・スペクターのサウンドとまったく縁がないということではないと思うんですよ。ヒップホップ、ソウル、ファンクもいいんですけど、もう少し掘って聞いてもらえると、こういう音楽ももっと親しみが持てるようになるのかなと思いました」

会場1「たとえばですけど、デヴィッド・ボウイの<Let’s Dance>は、みなさんいくらか年代的にも共通するところはあるのかなと思うんですけど」

赤べこ「<Let’s Dance>はわかります」

会場3「私から見ると、大滝詠一の曲で<幸せな結末>が挙がるのはちょっと驚きなくらいです。大滝詠一が中心の時代っていうのは、もっと前ですよね。何年ぶりかにドラマの主題歌をやるって話題になった覚えがあります。私の原体験では、大滝詠一というと、プロデュースを手がけた金沢明子の<イエローサブマリン音頭>。あとは<ナイアガラ>、<さらばシベリア鉄道>ですから、本当に年代によって違いがあるんだなあと。まあ、歳が若い人はそんなことも知らないのかっていうのは、どの時代でも色んな人が繰り返して言っちゃうことだろうなとは思うんですけど。大滝詠一さんも洋楽をかなり取り入れていて、今だったら、パクリばっかじゃねえかなんて言われかねないようなこともやってる。昔の開拓者ならではのことも、いっぱいなさってますよね」

赤べこ「そうですよね、ありがとうございます。洋楽にはだいぶ影響を受けてると思うんですけど、それを自分のセンスでモノにしている年代の人たちですよね。小坂忠さんや山下達郎さんも、自分のスタイルを貫き通して、モノにしているところがすごいかっこいいなって思う部分のひとつでもあります」

 

写真4

 

:話題はふたたび独特な言葉の表現に。話はラップミュージックにも及びます:

♪ 金井克子/他人の関係(1973年)

赤べこ「ちょっと大人の感じの曲というか、ムード歌謡ともなんか違うよね。お父さんとかお母さんに、これを聞いてるのを見つかっちゃいけないみたいな感じで聞いてる人もいるのかなーって。<他人の関係>っていうぐらいだから、子どものときに聞いてたらちょっと気まずいというか、そういう思い出のある方もいるのかなあと勝手に思ったんですが」

高橋「ちょっとエロいですよねえ」

濱田「言葉選びがねえ。やっぱり歌謡曲って、そういうところあるじゃん」

赤べこ「あるねぇ、うん」

会場3「多分、この当時歌手が振りをつけるっていうのは、あんまりなかったんじゃないのかなぁと。<他人の関係>もYouTubeにあるかもしれませんね。この数年後に小学生がピンクレディとかを真似する時代が来るんですよ。キャンディーズは振りらしいことはしていなかったかもしれないけど。ちょっと気になるのは、この曲、歌詞の意味より曲自体を癒しみたいに聞いちゃうんですよね。歌詞も確かに良いんだけども、歌詞そのものを味わうというよりは、この曲いいなーっていうふうに聞いてました。もしかすると、ブラックミュージック研究会のみなさんからしたら、歌詞の内容が薄いっていう感想になる可能性がありますね。こんなんだったらもう、英語ならなんぼでも言葉を詰め込める、今の日本語ラップだったら思いっきり詰め込めるっていう。そんなこと言ってる場合じゃねぇよもう!っていう」

濱田「はははは!」

会場3「良い曲だったなら、それはそれでもっと詰め込んでほしいとか、絶対感想には違いがあると思うんで」

赤べこ「確かにそうですよね。その感想もちょっと聞きたいねぇ。ブラックカルチャー研究会の皆さんが最初に聞いて感じたことを、お聞かせ願いたい」

遊佐「僕はこれ〜…、親の車ではちょっと聞けないですね。気まずい感じっす」

濱田「やっぱりそれは歌詞?」

遊佐「歌詞です。音は全体的に見ても、サンプリングしたら結構いいんじゃないかなーと思います」

赤べこ「はいはい、わかる。ありがとうございます」

鈴木「歌詞についてなんですけど、日本語ラップだともっと詰め込めるとおっしゃっていたんですが、あんまり語らないからこそ、それぞれ聞き手側が自分の個人的なことを想像する余地が残されてるっていうのが、今まで通して聞いた歌謡曲の特徴的なところかなぁと思いました」

赤べこ「なるほど」

高橋「すごい真っ当な意見。エロいだけじゃない」

濱田「エロいだけじゃないよ。日本語ラップについては前回のくろい音楽室でも触れたことがあったんですが、情報量が多いんですよね。リリック、歌詞が多いから。そういう意味では、歌謡曲とラップミュージックの単純な比較はできないですよね」

 

<会場のみなさんからいただいた感想>

「ああ、そうかって理解する、理解できるっていう時間を持てたこと、非常にありがたいです。決して世代や好みで断ち切られたものじゃなくて、一本の線で共通部分があるってことを、今日感じられてよかったです」

「メディアテークと図書館に来たついでにちょっと寄ったんですけど、予想に反していろんなところに話題が発展して、面白かったです。時間が経つのがけっこう早かった」

「今日偶然通りかかりまして、面白そうだなぁと思って聞きにきました。私達は東北人で、大滝詠一もそうだし山下達郎さんも実家が仙台なので、やはり東北の人って東北のものに憧れて、それが原動力になって素晴らしい曲を作っているのかなと。今日はとっても楽しかったです」

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今回は歌謡曲という、一見するととても広く壮大なテーマでした。その中でも特に歌謡曲のイメージとして根強い昭和歌謡。話は、クラブでDJ活動も行っている「赤べこレコーズ」さんが紹介してくれた、1970年辺りの音楽を中心に進みました。昭和歌謡特有の音楽性、その雰囲気に集まった多くの世代が現代の音楽とは違うなにかを感じとっていたように思います。また、リアルタイムで昭和歌謡を体感していた来場者から、当時の音楽と共に過ごしたさまざまな原体験を、広い世代で共有できたことは大切な時間となりました。なかなか貴重な回になったのではないかと感じています。また、興味の少ない音楽にも何かしらの音楽的共通点があり、親しみをもってその音楽と関わることの大切さなど、今回のテーマを越えた部分でも大きな気づきがあったことに、驚きを感じ、それは参加した来場者にとっても大きな収穫となったのではないでしょうか。

後日、この回に参加していた20代前半のブラックカルチャー研究会が、自分たちで発行したZINE(小冊子)のなかで今回の「くろい音楽室」を独自の視点で紹介してくれていました。こんなふうに、それぞれがここで得たことを持ち帰り、おのおのの形で楽しんでもらえたらとても嬉しいです。

ZINE "BLACK STUDY vol.2"(抜粋, PDF・966KB)
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報告:濱田(宮城アナログ文化協会)

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