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てつがくカフェ

てつがくカフェ第52回「安全を決めるのは、何/誰か?」(要約筆記つき)

■ 日時:2016 年 7 月 31 日(日)15:00-17:30
■ 会場:せんだいメディアテーク 1f オープンスクエア
■ ファシリテーター:西村高宏(てつがくカフェ@せんだい)
■ 参加無料、申込不要、直接会場へ
 
《今回の問いかけ》

 「想定外」と称された福島第一原発事故から5年が経過しました。
 この事故は、存在も影響も見えにくい放射能に対する私たちの不安を一気に高め、原子力発電所は果たして「安全」に稼働することが可能なのか、エネルギーという課題にどう向き合っていけば良いのかという大きな問いをもたらしました。そして、「安全」そのものについても、再度、立ち止まって考える機会を与えてくれました。
 例えば、国が定めた「安全基準」というラインに達していれば、「安全」と言えるのでしょうか。科学者が、科学的に正しいと述べれば「安全」なのでしょうか。専門家が、統計的な有意差が無いので直ちに健康への影響は無いと言えば「安全」なのでしょうか。
 一方で、「安全」と言われても「安心」できないのは、専門的な知識が不足しているからなのでしょうか。「知識」があれば、正しく判断して安心することができるのでしょうか。
それとも、発言者の属性により「安全」や「安心」の内容は変わってくるのでしょうか。そうであれば、これは「信頼」の問題とも言えそうです。「安全」と「安心」はどのような関係にあるのでしょうか。考えれば考えるほど新たな問いが生まれてきます。
 そこで、今回は、原発事故をめぐり大きく揺らいだ「安全」という言葉に焦点をあてたいと思います。賛成/反対といった二項対立の議論ではなく、今一度、立ち止まって、そもそも「安全」とはなんなのか、そして、それは誰が決めるものなのか、じっくりと考えてみたいと思います。
 
近田真美子(てつがくカフェ@せんだい)

 

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◆ 問合せ:mmp0861@gmail.com(てつがくカフェ@せんだい 西村)
◆ 主催:てつがくカフェ@せんだい、せんだいメディアテーク
◆ 助成:一般財団法人 地域創造

 

《てつがくカフェとは》
てつがくカフェは、わたしたちが通常当たり前だと思っている事柄からいったん身を引き離し、そもそもそれって何なのかといった問いを投げかけ、ゆっくりお茶を飲みながら、「哲学的な対話」をとおして自分自身の考えを逞しくすることの難しさや楽しさを体験していただこうとするものです。
てつがくカフェ@せんだい http://tetsugaku.masa-mune.jp

第52回てつがくカフェ「安全を決めるのは、何/誰か?」レポート

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「想定外」と称された福島第一原発事故から5年が経過しました。
この事故は「安全」そのものについて、再度立ち止まって考える機会を与えてくれました。
そこで今回は、「安全を決めるのは、何/誰か?」というテーマについて、「安全」という言葉に焦点を絞り、対話を通してじっくり考えました。

はじめに、皆さんから「安全」について自由に意見を述べていただきました。それらの意見は「そもそも安全とは何か」、「安全を判断するときは必ず前提がある」、そして「安全から生成されるもの」という3つに分類することができました。

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まず、「そもそも安全とは何か」に関しては、「物事には予見できない不確実性があるため、安全は普遍的なものではない」、「安全とは感情のあり様であり、感覚によって規定される」、「安全は(客観的に見た)状態なのか(関係性によって築かれる)営みなのか」という意見がありました。

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次に、「安全を判断するときは必ず前提がある」では、前提とされるものとして、「人間関係」、「環境」、「安心」、「情報量」、「知識量」があげられました。
そして、「安全から生成されるもの」として「信頼」という意見がありました。
これらの意見をめぐっては、原発事故、食品安全や新薬開発が例にあげられ、対話が繰り広げられました。以上を踏まえて、次のステップとして、「安全」についてより深く考えていくための<キーワード>をあげていきました。
そして、以下のようなキーワードが出てきました。

・決める(誰、何)
※安全は「決まる」ものなのか、「決める」ものなのか
・関係性
・獲得できるもの?与えられるもの?(能動的/受動的)
・客観的/主観的
・自分を偽らない力
・マクロ/ミクロ、見える/見えない(対象物の大きさ)
・管理
・リスク
・信頼
・距離

最後のステップでは、これらのキーワードを踏まえ、今回のテーマへの応答として、「安全とは○○○である」との私たちなりの定義を考えました。

・関係性の上で成り立つ状態である
・リスクを減らしていく永遠の運動である
・自分が被害を受けないと感じた時の感情である
・許容できる範囲の危険である
・健全な対抗文化の構築である
・情報を知りうる状態である
・関係性を構築することである

定義について意見を述べられた方の中には、安全とは「永遠に更新されていくもの、作り上げるもの、何度もやり直さなくてはならないものだ」と話す方もいらっしゃいました。

ここで、対話の中からじっくりと考えていく時間は終了となりました。
今回のてつがくカフェでは、安全についてじっくりと考えるための素材が出てきました。それらを活かし、参加した皆さんは、さらに考えを深めていかれることと思います。

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報告:木村涼子(てつがくカフェ@せんだい)

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