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てつがくカフェ

てつがくカフェ第59回「〈記念〉について考える」

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■ 日時:2017 年 3 月 11 日(土)15:00-17:30
■ 会場:せんだいメディアテーク 1f オープンスクエア
■ ファシリテーター:辻明典(てつがくカフェ@せんだい)
■ 参加無料、申込不要、直接会場へ

 

《今回の問いかけ》

〈記念〉とは。

 

それは例えば、出来事や思い出を形に残しておいて、自分や誰かが、あとで記憶をなぞれるようにしておくこと。

 

親しい人たちとともに撮った写真を眺めながら、思い出話に花が咲くこともあるかもしれません。「ああ、あの人は、元気に過ごしているのだろうか」。「ああ、この人は、こんな表情をしていたんだね」。そんなことを語り合いながら、思いを巡らせたり、記憶を辿ったり。
お祝いの席で贈られた品物。
それは「あのとき、あの人にいただいたんだね」と、その品にまつわる記憶を、思い出させてくれるもの。そして、「これは大事にしなければ」と思わせるようなもの。
道端で見つけた、過去の出来事が彫られている石碑。
かつてそこに生きていた人たちが、これだけは後世に伝えておかねばと、石に言葉を刻み込んだもの。わたしたちはそこから、過去の出来事や、かつてここにいた人たちの息づかいに、思いをはせることもできるでしょう。

 

また例えば、過去の出来事に対する、お祭りや催し。
東日本大震災とそれに伴う原発事故が起きてから、6度目の3月11日がやってこようとしています。各地では、この出来事を振り返るためのセレモニーがひらかれることでしょう。祈りを、捧げるために。花を、手向けるために。
一方で、何度も巡ってくるこの特別な日は、もうそろそろ震災という出来事に、〈区切り〉をつけてはどうか、〈折り合い〉をつけてはどうかと、わたしたちを静かに誘ってくる、そんな日でもあるのかもしれません。

 

さて、〈記念〉とは。

 

それは、わたしたちの暮らしと、分かち難くつながっていることのような気もします。少しだけ立ち止まって、わたしたちにとっての〈記念〉について、また、〈記念〉とともにあるわたしたちの生について、言葉を交わし合いながら考えていきたいと思います。是非ご参加ください。

 

辻明典(てつがくカフェ@せんだい)

 

◆ 問合せ:mmp0861@gmail.com(てつがくカフェ@せんだい 西村)
◆ 主催:てつがくカフェ@せんだい、せんだいメディアテーク
◆ 助成:一般財団法人 地域創造

 

《てつがくカフェとは》
てつがくカフェは、わたしたちが通常当たり前だと思っている事柄からいったん身を引き離し、そもそもそれって何なのかといった問いを投げかけ、ゆっくりお茶を飲みながら、「哲学的な対話」をとおして自分自身の考えを逞しくすることの難しさや楽しさを体験していただこうとするものです。
てつがくカフェ@せんだい http://tetsugaku.masa-mune.jp

てつがくカフェ第59回「〈記念〉について考える」レポート

当日は3月11日でしたので、てつがくカフェ開催に先立ち、東日本大震災の発生時刻14時46分に黙祷を捧げました。

その後、15時から「記念について考える」というテーマで対話を行いました。
まず、はじめに「記念」について自由に思ったことを話していただきました。
記念日、記念の品など記念にまつわる言葉が出されました。それらの記念は、大きく分けて2種類あり、ひとつは、1対1の個人間の記念、そしてもうひとつは設立記念日のような多数の人が関わる記念です
そこから、多数の人が関わる記念について対話が深まりました。多数の人が関わる記念は、個人に同調を求めることがあるのではないか。その一方で、震災のこと、戦争のこと、個人では忘れたいことではあっても、公として忘れてはならないことを記念にするのではないか、などの意見が出されました。
また、記念とはひとつの区切りで、冠婚葬祭や式典など、さまざまな人が集まって感情を共有する場であるという声もありました。

 そして、記念を考えるにあたり、過去‐現在‐未来という時間軸が示されました。記念とは、過去の出来事を投影し、意味づけしたものではないか。しかし逆に記念日などとすることで、神妙なものが娯楽化してしまったり、本来の意味が失われ記念日の形式だけが残ったりするという声が上がりました。例えば祭りのお神輿などは、本来の祈りの意味は薄らぎ、イベントとしての色合いが強くなっています。
しかし、それだからこそ過去から受け取り、関わることができるという声もありました。
ここで、新たな疑問として、そもそも記念とはお祝いのときに使う言葉ではないか、という意見が出されました。震災等の出来事の記念は「メモリアル」では?という声もありました。しかし、終戦記念日もあるということで、ここはそれぞれの感じ方の違いをあらためて再確認する場となりました。



以上のような対話をふまえ、〈記念とは何か〉をより深く考えていくために、どのようなキーワードが挙げられるか考えていきました。

ここで挙げられたのは、次のような言葉でした。

・きっかけ
・心の歴史
・きねんの先
・できる日/できない日
・心を誘導する装置
・形式
・思う
・強制
・個人⇔他者
・思い出

これらを踏まえて、記念とは何か、をそれぞれ定義していきました。

・記念とは、価値観を共有し合う目的のものである。
・記念とは、意味づけが消えて形式だけが残ったとき、場として機能するものである。
・記念とは思いを表すものである。
・記念とは個人の自由にならないのか?



これらを考えていく中で、もう少し掘り下げて考えてみたい部分なども出てきました。ここで終了時刻となりましたが、参加者それぞれが記念について、新しい捉え方ができたように思われます。

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