考えるテーブル

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せんだいメディアテーク
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てつがくカフェ

第13回「震災を〈記録〉するということ」(要約筆記つき)

■ 日時:2012 年 8 月 5 日(日)15:00−17:30
■ 会場:せんだいメディアテーク 1f オープンスクエア
■ 話題提供:甲斐賢治(せんだいメディアテーク企画・ 活動支援室室長)
■ 参加無料、申込不要、直接会場へ
■ 問合せ:tanishi@hss.tbgu.ac.jp (西村)
■ 主催:せんだいメディアテーク、てつがくカフェ@せんだい

 

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震災と記録
震災以後、せんだいメディアテークでは「3がつ11にちをわすれないためにセンター(わすれン!)」を 開設し、市民やNPOなどが撮影した復旧・復興の過程を記録し発信する活動を続けています。
そこには、地震発生時の体験を語った映像や被災した住民の方々の復興・まちづくりに対する生の 声、被災地のさまざまな音、写真などが多数収められています。
今回のてつがくカフェでは、この「わすれン!」の設立に関与し積極的に活動を展開しておられる甲 斐賢治さん(せんだいメディアテーク企画・活動支援室室長)を招き、震災を〈記録〉するということの 意味について参加者の皆さんとともに考えてみたいと思います。
(てつがくカフェ@せんだい 近田真美子)

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3がつ11にちをわすれないためにセンターについて
2011年5月3日。せんだいメディアテークは、東日本大震災による被害に対し、ともに向き合い考えな がら復興への道のりを歩む「3がつ11にちをわすれないためにセンター」を開設しました。
市民、専門家、スタッフが協働し、復旧・復興のプロセスを独自に発信、記録していくプラットフォームとなるこのセンターでは、映像や写真などのさまざまなメディアとインターネットの活用を通じ、広く情報共有し復興推進に努めるとともに、収録されたデータを「震災の記録・市民協働アーカイブ」として記録保存しています。

3がつ11にちをわすれないためにセンター http://recorder311.smt.jp/

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てつがくカフェとは
てつがくカフェは、わたしたちが通常当たり前だと思っている事柄からいったん身を引き離し、そもそもそれって何なのかといった問いを投げかけ、ゆっくりお茶を飲みながら、「哲学的な対話」をとおして自分自身の考えを逞しくすることの難しさや楽しさを体験していただこうとするものです。

てつがくカフェ@せんだい  http://tetsugaku.masa-mune.jp/

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第13回てつがくカフェ「震災を〈記録〉するということ」レポート・カウンタートーク



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第13回てつがくカフェのテーマは『震災を〈記録〉するということ』でした。
今回はせんだいメディアテーク企画・活動支援室長の甲斐賢治さんを招き、同館では、どのように震災を記録しているのかについてお話しいただきました。内容としては、震災後に立ち上がった「3がつ11にちをわすれないためにセンター」(以下、わすれン!)が発足した経緯と集まった記録についての説明と同時に、現代のマスメディアによる簡略化された情報ではなく、要約できない映像の大切さについて30分ほど、映像紹介を交えて話してくれました。



その後は、わすれン!以外の震災記録も含めて話し合いました。会場からは「震災の記録資料はさまざまな場所で多くの人が見ることができるよう仕組みを広げるべき」という意見や、「沿岸部で被災した当事者は記録映像を見たくないのでは」など、参加者の方々が感じている意見が上がりました。



話題提供者の甲斐賢治さん



しかし、様々な意見が会場から出たものの、それぞれの方が「記録」や「記憶」に対して持つ価値観が異なっていました。そこで、議論に明確さを求めようと「記録」と「記憶」を区別する明確な定義づけを行うこととなり、ここから、議論の流れは根本的な問い、哲学的な問いへと変わっていきました。「記録」の語に関しては、「伝え手がいなくても残るもの」や「自分の意志で残したもの」という意見が上がる一方、「記憶」の語に関しては、「伝え手がいなければ伝わらない」や「意思とは関係なく残ってしまうもの」という意見が上がりました。普段の生活ではあまり考えない言葉の定義づけということもあり、会場の参加者は言葉の意味を曖昧なまま使用していたと気付き、明確にしようと試行錯誤を繰り返していました。ファシリテータの西村高宏さんは、この答えのない問いを考えている際のモヤモヤを「気持ち悪い感覚」と表現していましたが、同時に、その感覚を持ちながら問い続けることの重要さも感じられる時間でした。



白熱した議論が展開された結果、いちおうこの場では、「記録」という語は、主体的だがモノ(映像や写真)の側面が強くなり、「記憶」という語は、内なるもの・リアリティ・身体的・受動的と定義づけされました。記録の場合は主観的な記録であれ、客観的であれ、アプローチにより変わるのではという見方も出ました。こうした言葉の定義づけを踏まえて、「記録のあり方」や「記録は人を救えるのか」という問いが出てきました。会場からは、これらの問いに対して様々な意見が上がりましたが、ここで時間切れとなりました。



てつがくカフェではこの問いを各自持ち帰り、普段の生活でも考えることが大切であるというスタンスをとっています。その後のスタンスといって良いのかはわかりませんが、哲学的な問いは「ひらめき」で答えがでるほど簡単なものはありません。てつがくカフェで得た視野や問いを使いこなし、自分自身で考え直していくことこそが、ここで議論する意味であると思います。「言葉の定義づけ」で感じたモヤモヤ、気持ち悪い感覚、これらを感じながら、新たな世界・視野・問いの発見がしたいと思った方は、ぜひ次回も参加して欲しいと思います。

てつがくカフェはスタッフのみではなく、参加者の方々も共に作り上げていく議論の場だと思います。ここでは参加者の方々もスタッフも1人の人間として参加することになります。経験の度合いが多かろうが少なかろうが関係ありませんし、何度も参加している方と、初めて参加する方の間にも上下関係は存在しません。お互いに意見を言い合い、持論を深め合う環境こそが、いい対話の場ではないでしょうか。これからもみなさんと「問いの空間」をつくりあげていきたいと思っています。よろしくお願いします。

報告:長井太(てつがくカフェ@せんだい)

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黒板まとめ



黒板1枚目、2枚目






黒板3〜5枚目



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◎「第13回『震災を〈記録〉するということ』」カウンタートーク

カフェ終了後に行ったスタッフによる延長戦トークです。以下より視聴できます。



 

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