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てつがくカフェ

〈3.11以降〉読書会-震災を読み解くために-第13回

■ 日時:2014 年 5 月 24 日(土)17:00−19:00
■ 会場:せんだいメディアテーク 7f スタジオa
■ 参加無料、申込不要、直接会場へ。課題本をご持参ください。
■ 問合せ:philcfsendaiaw@gmail.com (綿引)
■ 主催:せんだいメディアテーク、てつがくカフェ@せんだい
■ 助成:財団法人 地域創造

 

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この「読書会」について
「読書会」は、あるひとつの本を取り上げ、それを参加者みんなで一緒に読んでいくものです。この読書会では、ほかの人々と共に読むということを最大限活かし、ひとつの本に対する人々の多様な「読み方」を大切にします。そうして参加者どうしが協力し合い、触発し合って、〈震災〉という出来事を――それを直接に扱う「震災関連書」をひとりで読むだけでは辿りつけないようなところまで――深く「読み解く」ことができるような場でありたいと願っています。

課題本
『社会を変えるには』小熊英二(著),講談社現代新書

※一部広報では、「一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル」東 浩紀著(講談社)が課題本となっていましたが、上記本に変更となりましたので、ここにお知らせします。

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<読書会前>

・課題本を読んできて下さい。

・自分が重要だと思う単語をひとつ以上ピックアップし、本の内容について「問い」を作ってみて下さい。

・「震災を読み解くために」という観点で、みなさんの 「おすすめの本」を選んできて下さい。

★問いはいくつでもOKです。おすすめの本が見つからなくても、ご参加いただけます。

 

<読書会当日 前半>

・みなさんのピックアップした単語と本の内容についての「問い」をもとに、課題本を読み解いていきます。

・意見を交わし合いながら、「問い」そのものを深めていきます。

 

<読書会当日 後半>

・みなさんの「おすすめの本」について、“なぜ・どのように「震災を読み解く」のか”、それぞれ発表して下さい。(プレゼン技術を競い合うものではありませんので、ご留意下さい)

・発表の時間は「残り時間÷発表者の数」です。

・発表をもとにみなさんで話し合い、次の読書会で一番読みたい本を投票し課題本を決めます。

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「震災を読み解くために」読書会の理念

この「読書会」は、あるひとつの本を取り上げ、それを参加者みんなで一緒に読んでいくものです。ほかの人々と共に読むということを最大限活かし、ひとつの本に対する人々の多様な「読み方」を大切にします。そうして参加者どうしが協力し合い、触発し合って、〈震災〉という出来事を――それを直接に扱う「震災関連書」をひとりで読むだけでは辿りつけないようなところまで――深く「読み解く」ことができるような場でありたいと願っています。

 

私たちは、読書会というかたちで本を読むことが、単にひとりで本を読むときには得られないような、格別の効果をもたらすものだと考えます。

 

第一に、あるひとつのテキストを巡る多種多様な意見や思いに触れることによって、自分ひとりの理解がいかに特殊なものであるかを知ることができます。これを反対から言えば、本を読む営みのもつ豊かさに気づくことができるということです。ふだん多くの人にとって、ひとつの本を巡る解釈について誰かと熱く語り合う機会などそうないのではないでしょうか? そうだとしたら、ふだん自分がどのくらい、特殊な読み方をしているのかもわからないはずです。それは「読みの複数性」と言い表わすことができるような、読むことのもつ豊かさを引き出せていないということです。さらにまた、テキストを共に読むことで、読書会に参加する人々の(ふだんは隠された)多様性や他者性――彼らが自分とは異なる人間であるということ――に気づくことができます。これも日常の当たり障りない会話においては得難い体験ではないでしょうか。

 

また、第二に、読書会に参加し、他の参加者と協力することによってテキストと真に向き合うことができるというのも、読書会のもたらす効果のひとつです。さらにこの読書会は、「震災を読み解くために」、あくまで〈震災〉という出来事と関連するテキストを取り上げる予定ですから、テキストと真摯に向き合い、共に参加する人々の力を借りながら、「自分なり」を超えた読み方で〈震災〉という出来事を見つめ直すことができるという点にも、この読書会に参加することの意義が見いだせるはずです。

 

私たちは読書会という読みのかたちがもつ特性を最大限活かしながら、深く〈震災を読み解く〉ということ、また、そのための〈読みの力〉を鍛え上げていくことを理念として掲げ、その実現へと向けた努力を――参加者の方々と共に――重ねていきたいと考えています。

〈3.11以降〉読書会-震災を読み解くために-第13回レポート

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○今回の読書会では、前回みなさんに紹介して頂いた本のなかから投票で選んで決めた小熊英二著『社会を変えるには』(講談社現代新書)を読み解きました。

(以下、『社会を変えるには』と表記)

○そのうえで最後には、前回みなさんに紹介して頂いた本に加え、今回新たに紹介された本と今回の課題本の中から、次回以降の課題本を決めました。

○次回の課題本は今回に引き続き『社会を変えるには』です。少なくとも2カ月かけて読むことも決定しました。ですので、6月と7月も、この本を課題本として読書会を進めていきます。

○また、今回から、以下の段階をはっきり分けて読書会を進めていきます。

(1)著者の主張の整理

(2)著者の主張に対する参加者それぞれの意見や疑問、問いを挙げる

(3)課題本への深まった理解を前提にした「てつがく」的な対話

*読書会の進め方に関する詳細は6月以降の読書会のチラシをご覧ください。

 

当日の読書会の様子をご紹介します。

今回は、以前のルールのとおり1回で課題本を選び直すことが前提としてあったので、上記3つのステップを開催時間である2時間以内にやりとおさなければならないという強行スケジュールでした。

そのこともあり、一人ひとりの発言時間が短くなり、また私(綿引)の説明不足で、必ずしも上記3つのステップをひとつずつ、丁寧に進めていくことはできませんでした。著者の主張を確認したすぐ後にそれに対する意見が述べられ、参加者同士で理解を深めて行く段階に至る前に対話が進んだり、そうかと思えば著者が文中で用いる「代表」の概念について、「誰に代表されるのか/誰が代表するのか」というような根本的な問いが投げかけられたりしました。

 

写真2re

 

以上を踏まえ、今回のレポートでは、会場の黒板にリストアップすることで、共有・整理できた著者の主張に関してだけ報告させて頂きます。

とくにこの読書会で主題とするのは、『社会を変えるには』の第5章と第6章でしたので、参加者の方々には、その内容について「そこで著者は結局どういうことを言っているのか?」という問いに答えるかたちで、次のように要約してもらいました。

 

【第5章で著者は結局どういうことを言っているのか】

○近代民主主義の限界を、歴史的変遷を踏まえて提示している。

・科学技術の発達が権力構造を変えた。

○「代表されていない」実感が増加。

・「わたし」と「われわれ」の変化。

 

【第6章で著者は結局どういうことを言っているのか】

・現代思想を参照し、熟議にまだ可能性がある根拠立てをしている。

・治療するより予防したほうが安上がり。


・「わたし」と「あなた」の関係は変わっていく。

・絶対的なものがなくなる⇒関係をつくるには。

 

次回からは、複数の月に渡ってステップごとにまるまる2時間かけられるので、今回より丁寧に進められるはずです。共有され、整理される内容も増えていくでしょう。

最後になりましたが、読書会当日に参加者の方々から新たに紹介された本は以下のとおりです。

・    永幡嘉之著『巨大津波は生態系をどう変えたか 生きものたちの東日本大震災』

(講談社ブルーバックス)

・小川眞著『キノコの教え』(岩波新書)

・エミリー・マッチャー著、森嶋マリ訳『ハウスワイフ2.0』(文藝春秋)

・ニコラ・デイビス著、ローラ・カーリン絵、さくまゆみこ訳『やくそく』(BL出版)

・中島岳志(×星野智幸、大澤信亮、重松清、開沼博)著

『世界が決壊するまえに言葉を紡ぐ』(金曜日)

 

報告:綿引周(てつがくカフェ@せんだい)

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