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てつがくカフェ

第35回 「震災とセクシュアリティ5 〜これまでの問いを振り返る」

■ 日時:2014 年 7 月 6 日(日)15:00-17:00
■ 会場:せんだいメディアテーク 7f スタジオa
■ ファシリテーター:房内まどか(てつがくカフェ@せんだい)
■ 参加無料、申込不要、直接会場へ
■ 問合せ:tanishi@hss.tbgu.ac.jp (西村)
■ 主催:せんだいメディアテーク、てつがくカフェ@せんだい
■ 助成:財団法人 地域創造

《今回の問いかけ》

今回は、今まで出てきた以下の問いをもう一度みなさんで考え、まだ核心に触れていないことはないか、さらに一人ひとりが自分のセクシュアリティを考えられる問いはつくれないか、対話する時間にします。〈第2回 2013.12.22〉

・社会でなぜ受け入れられないということが起こるのか?
・”みんなの避難所”の中の社会的ルールって何?
・セクシュアリティにとって自然とは?規範とは?それでどう苦しんでいるのか?
・自分の中で規範化して内面化していくことをどうしていったらいいのか?
・人間の性は動物の性と同じと考えてよいのか?
・人間の性は生物学的にとらえられる(思い込む)のはなぜ?〈第3回 2014.2.16〉
・多数派と少数派でわけて問題を解決した方がよいのか?
・なぜ自分の性について問われない人(問われる人/問われない人)がいるのか?
・セクシュアリティにとって自然と規範の差が生じるのは?
・どうして震災を機にこれ(この問題)を考える必要があったのか?
・(震災時などの場づくりにおいて)なぜ規範をつくろうとするのか?〈第4回 2014.5.4〉
・セクシュアルマイノリティとマイノリティでどこが違うのか?
・セクシュアルマイノリティは普通じゃないのか?
・私のセクシュアリティを縛る規範とは?
・無意識に受け入れる?
・どうして社会を主語として語りたいのか?
・セクシュアリティを問うのはわたし/あなた/社会?
・自分じゃない他人を受け入れるって?

「震災とセクシュアリティ」の対話は、難しさ、痛み、傷つき、恐怖、心のせめぎ合い、思考が停止するようなわからなさ、わかりあえなさの苦しみが伴ってきました。しかし、時に訪れる言葉の重なり、「それが言いたかった」の感覚、思考の風穴があく感覚、言い淀みの中に感じる共感、そんな瞬間の積み重ねがあります。それは、語りづらさの中で勇気を持って自分のセクシュアリティを自分なりに表現し続ける方々がいらっしゃるからです。その勇気を大切にし、この場所から一人ひとりに広げていきたいのです。

次の世代のため、次に起こるかもしれない災害の時のため、そして「この自分のセクシュアリティ」を背負って今を生きる私たちのため、できるだけ長く問い続ける場をつくろうと考えています。

房内まどか(てつがくカフェ@せんだい)

《てつがくカフェとは》
てつがくカフェは、わたしたちが通常当たり前だと思っている事柄からいったん身を引き離し、そもそもそれって何なのかといった問いを投げかけ、ゆっくりお茶を飲みながら、「哲学的な対話」をとおして自分自身の考えを逞しくすることの難しさや楽しさを体験していただこうとするものです。
てつがくカフェ@せんだい http://tetsugaku.masa-mune.jp

第35回てつがくカフェ「震災とセクシュアリティ5」レポート

写真1

「震災とセクシュアリティ」シリーズ第5回のテーマは「これまでの問いを振り返る」です。初参加の方を含め、みなさんで改めてこれまでに立てられた問いについて考え、さらに議論を深めるためのキーワードを探し、一人ひとりが自分のセクシュアリティ(*1)を考えられるような問いを立てることを目指して対話しました。

はじめに、ファシリテーターの房内さんから挨拶があり、新川和江の詩「わたしを束ねないで」が朗読されました。対話を振り返ると、自由に自分らしくありたいという気持ちをうたったこの詩も、私たちの対話の一部となっていたように感じます。

対話の前半は、これまでに立てられた問いの一覧(チラシ参照)を見ながら、気になる問いや言葉について語り合いました。ここで話題に上ったのは、”自然”と”規範”という言葉です。なぜ自然をよいものと考えるのかという疑問や、自然という言葉が都合よく使われているという意見がありました。また、震災当時、避難所で「それが自然だから」という考えで無意識に決められていった様々な生活のルールが、セクシュアルマイノリティ(*2)の方々の過ごしがたさの原因となっていた例が語られました。
写真2写真3

そこで後半は、「避難所の中における<自然>とは?」という問いを立て、対話を続けました。その中で、前半で語られた”自然”という言葉には、多くの人にとって普通で当然であること(ナチュラル)と、一人ひとりが生まれもつありのままの性質(ネイチャー)という、ふたつの意味があるという意見が出されました。ありのままの私は一人ひとり異なり変わっていくものです。一方で、多数派にとっての自然やそこから生じる規範は、なかなか変わりにくいように思われます。しかし、会場から、今回の対話を通じてマイノリティの方々のことを知り、自分の考え方が変わったという声があり、一人ひとりの意識や考え方が変化することが、みんなにとっての新たな自然をつくることにつながるのではないかという意見が語られました。

今回は、休憩をはさみながら、落ち着いた雰囲気で対話が進みました。「震災とセクシュアリティ」のシリーズでは、今後も引き続き対話の場を開いていきたいと考えています。


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*1 セクシュアリティ…人の性の包括的なありよう。身体の性、ジェンダー、性自認、性的指向等の要素がある。
*2 セクシュアルマイノリティ…性的なありようが多数派でないとされる人たちのこと。同性愛者・トランスジェンダーなどが有名だが、ほかにもいろいろな人がいる。略して「セクマイ」とも。

(参考:レインボーアーカイブ東北 用語解説 http://recorder311.smt.jp/information/33307/

報告:齋藤さかえ(てつがくカフェ@せんだい)

 

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