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てつがくカフェ

第36回 「震災後を、〈ここ〉で生きる」(要約筆記つき)

■ 日時:2014 年 8 月 2 日(土)15:00-17:00
■ 会場:せんだいメディアテーク 1f オープンスクエア
■ ファシリテーター:辻明典(てつがくカフェ@せんだい)
■ 参加無料、申込不要、直接会場へ
■ 問合せ:tanishi@hss.tbgu.ac.jp (西村)
■ 主催:せんだいメディアテーク、てつがくカフェ@せんだい
■ 助成:財団法人 地域創造

《今回の問いかけ》

震災後を、〈ここ〉で生きる。

あなたにとっての、〈ここ〉とは、なんだろう? 〈此処〉だろうか? それは、ふるさと、わが家、なじみのお店、親しい人たちと〈とも〉にいられる場所。よろこびを〈とも〉にわけあう場所。はたまた、悲しみのなかにただよう場所。 〈戸戸〉だろうか? それは家々が立ち並び、息づかいや温もりが聴こえるまち。〈個々〉だろうか? ひとり、ひとり。この〈わたし〉の、ゆずり渡すことのできない、「生きる」といういとなみ。

あなた自身にとって、「生きる」とは、どのようないとなみなのだろうか? わかりやすそうで、わかりにくく、うまくいきそうで、思い通りにならない。かくも日常的で、理解し難い、この「生きる」といういとなみ。

先日、ある場所で「てつがくカフェ」を開催した時、参加された方の1人が、こんな発言をした。

「震災に、わたしは問いかけられた。」

わたしは、この言葉が、なぜか頭から離れない。どうしてもわたし自身に問わずにはいられない。どう生きるべきか? どこで生きるべきか? 何を大切に生きるべきか? わたしは、わたし自身の「人生」を生きているのだろうか? そもそも、生きるとは…?

震災が起きてから、疼くような思いを、どこかに抱えている。こころのなかに滞留しているようで、いまだ言葉にはできずにいる、まるで悲哀を背負いこんだような、疼くような思い。「生きる」ことには、この疼きを抱えることも、含まれているのか。

参加された方々と〈とも〉に問い直してみたいと思います。今回は、震災後を〈ここ〉で生きることについて。

辻 明典(てつがくカフェ@せんだい)


《てつがくカフェとは》
てつがくカフェは、わたしたちが通常当たり前だと思っている事柄からいったん身を引き離し、そもそもそれって何なのかといった問いを投げかけ、ゆっくりお茶を飲みながら、「哲学的な対話」をとおして自分自身の考えを逞しくすることの難しさや楽しさを体験していただこうとするものです。
てつがくカフェ@せんだい http://tetsugaku.masa-mune.jp

第36回 てつがくカフェ「震災後を、〈ここ〉で生きる」(要約筆記つき)レポート

写真1
今回は、震災から現在に至るまでの自分自身を顧みるかたちの対話となりました。
まず、参加者の方々から、「震災後を、〈ここ〉で生きる」というテーマから感じたことなどを自由に挙げてもらいました。
最初に挙がったのは、「〈ここ〉で生きる」という言葉の意味を考察する意見でした。
「震災後を、〈ここ〉で生きる」にも、さまざまなかたちがあります。自分の意志で〈ここ〉を選択した人もいれば、たまたま〈ここ〉で生きている人、〈ここ〉を選択せざるを得なかった人など、あらゆる状況下でそれぞれの思いを持っていると思います。
その上で、「では、震災前はどこで生きていたのか」という問いかけがありました。震災後の〈ここ〉には強い意味付けがある一方で、震災前の〈ここ〉はあまり意識されていないものなのだと改めて認識させられました。震災の前後で、場所は同じ〈ここ〉でありながら、感覚的には〈ここ〉ではなくなってしまったというお話もありました。
また、地震大国日本であれば、震災後とは現在進行形で営まれる日常そのものです。そのため、震災の前後で〈ここ〉は変わらないのではないかという意見もありました。ほかに、そもそも今は震災「後」なのかという問いかけもありました。
写真2
次に、〈ここ〉が持ついろいろな意味について意見が交わされました。自分の頭で認識している〈ここ〉、体が置かれている〈ここ〉。また、もっと現実的に、原発の問題が解決されなければ住めなくなる〈ここ〉もあるという意見もありました。
写真3
以上のような対話をふまえ、「震災後を、〈ここ〉で生きる」というテーマをより深く考えていくための問いを立てました。
「選択」またそれを判断した「自分の頭」と「体」、その選択後の「覚悟」などがキーワードとして、以下のような問いが導き出されました。

・自分の頭で考えたこと、体で感じたことをもとに生きているか
・〈ここ〉をなぜ選んだのか
・日常と非日常を自分の頭の中でどう区別するか
・あなたは震災後〈ここ〉を選択して良い生き方ができますか

自分自身とあらためて向き合う姿勢があらわれる問いとなり、参加者の方々それぞれに、その問いを自身のものとして持ち帰るかたちとなりました。
写真4 写真5 写真6
報告:三神真澄(てつがくカフェ@せんだい)

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