考えるテーブル

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いま、貞山運河を考える

2012年 第1回「貞山運河を知る」

■ 日時:2012 年 5 月 30 日(水)18:00−19:30
■ 会場:せんだいメディアテーク 7f スタジオa
■ 参加無料、申込不要、直接会場へ

■ 問合せ:tel・ fax 022-222-0250(上原)

■ 主催:せんだいメディアテーク/いま、貞山運河を考える会

 

被災地を貫く貞山運河(ていざんうんが)。

木曳堀、新堀、御船入堀、東名運河、北上運河からなる貞山運河は、

旧北上川河口から阿武隈川河口までを結ぶ日本一長い運河であり、
慶長2年(1557年)から明治17年(1884年)にかけてつくられた、
宮城県の誇る歴史遺産です。
かつてこれらの運河は、それぞれに異なる役割を持ち、藩米や木材などの輸送のために、また野蒜築港運用のために開削されたものでしたが、近年では、農業用排水路、ボートの係留地として、またサイクリングなどレジャーに活用される、地域住民のいこいの場でした。

これまで貞山運河に関わりのあった人、

震災後、初めてこの場所が気になりはじめた人、
それぞれの立場から、いま、貞山運河に思うことを話しあってみませんか。

2年目となる今年は、各回テーマごとに考えを深め、市民の声をまとめていきます。

※ここでいう貞山運河とは、北上運河、東名運河、御船入堀、新堀、木曳堀を指します。

※この企画は、ヒアリングした意見を集約し、自治体に提言する案をまとめるものではありません。
※イベント当日は、イベントのレポートとしてウェブサイトに公開するために、会場の様子を写真撮影します。

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2012年 第1回 いま、貞山運河を考える「貞山運河を知る」レポート

昨年せんだいメディアテークの“考えるテーブル”で行われた『貞山運河を考える』という催しを踏まえて、今年もあらためて『いま、貞山運河を考える』と題してその第1回が開催されました。

20名ほどの皆さんが集まり貞山運河についてのそれぞれの想いを語り合いましたが、昨年も参加された方だけでなく今回初めて参加された方も大勢おられ、活発な議論が交わされました。

第1回は『貞山運河を知る』というテーマで、これまでの経緯や現状、今後に期待する将来の利活用の方向などについて自由に意見を発表しました。

第2回以降は、貞山運河の「環境と自然」「防災」「暮らしと仕事」「観光・遊び」「景観」…などをテーマにより深く掘り下げていきたいと考えています。

以下、当日の参加者の方々から出てきた意見です。



******** 進め方 *********

■ 昨年メディアテークで『貞山運河を考える』という催しを2回行ったが、その時、ユニークで面白い意見がいろいろ出てこのまま終わらせたくないという話になった。そこで、今年も皆さんからいろいろな意見を集め、ここメディアテークから世界中に情報発信したい。行政や専門家だけでなく一般市民からの意見考えを集めていきたい。

■ “考えるテーブル”としての方向性・趣旨は?

■ “意見をまとめて提言する”というのは難しい。“意見を集めて発信する”という形を考えている。今年は去年の繰り返しではなく、より深彫りしていきたい。まず現状を知ったうえで、次回以降テーマごとに実現可能性のある形を論議していきたい。

■ 震災以降走り出している行政の方向性と住民の想いが乖離してきている。市民レベルでひとつのテーブルで話をする中で方向を探っていきたい。

■ 知らないことが多すぎる。“貞山運河を知る”ためには、まず“知っている人”を呼んでその人から話を聴くべき。そうやって“聴いて”、“知った”うえで、現場を見て考えていくことが必要。

■ インターネットによる情報発信だけでなく、“紙ベース”でも記録を提供してほしい。



 

 

 

******** 経緯と現状 *********

■ 貞山運河は、岩沼から石巻まで全長49kmの壮大ですばらしい歴史遺産だ。

豊かな自然を“保全”するだけでなく“観光産業”にも結びつけたいと国土交通省や7市2町で『貞山運河の魅力再発見協議会』を起ち上げこれまで3回のシンポジウムを開いたが震災で中断している。今後はまず貞山運河が震災で受けたダメージを調査して現状を把握したい。

■ 貞山運河の河川管理者は、宮城県土木部河川課。

高潮対策としての+7.2mの防潮堤の築造計画を進めているが、景観・親水性なども含め貞山運河の利活用について市民からの要望を期待しているとのこと。

■ 仙台市文化財課では貞山運河を“埋蔵文化財”として登録しており、改修などの際は届出が必要とのこと。



 

 

 

******** 利活用方策など *********

■ 貞山運河の歴史文化を忘れていることは残念。貞山運河はそれなりの歴史を持っており文化財として生きている。今後も “文化資源”・“歴史資源”として捉えていきたい。

■ 政宗公の貞山運河や四ッ谷用水などのダイナミックな土木事業が今も受け継がれているのを大事にしたい。

■ 阿武隈川・名取川・北上川と、大きな川の水の流れを貞山運河がつなぐ。皆さんの力で働きかけ、活力ある観光産業など県の事業として貞山運河の整備を期待したい。

■ 石巻から野蒜にかけての景観はすばらしい。ぜひ残したい。

■ 建築などの建造物に比べて“土木遺産”の力強さを感じる。海との多様な付き合い方も含めて、貞山運河のスケールの大きさ風景の力強さなど貞山運河のありがたみを考えていきたい。

■ 貞山運河の絵を描いている。素晴らしいスケッチポイントがたくさんあり景観としての価値が 高い。どこかに津波の記憶を残すなど震災後も新しい景観を作り出していくという考えでやっていきたい。

■ 人は美しいところに集まる。貞山運河を汚いままにしておきたくない。

■ もともと舟運を目的として開削された貞山運河であり、将来も漁業のための船だけでなく舟遊び用の舟なども使った”観光”目的の、しかも”被災地復興観光”的な利用も考えていきたい。

■ 公園や道路などの盛土用の土を確保するためにも“第二貞山運河”を提案したい。

■ “仙台藩遺産復興政宗プロジェクト”を提案したい。仙台市海岸公園冒険広場の高台を貞山運河から南東に太平洋を西に仙台平野を望む展望台“3.11メモリアル”として活用するなど、現地を歩いて考えたらどうか。

■ 貞山運河と同時代にできた四ッ谷用水をどこかに復元したいと考えている。

貞山運河をビジネスに結び付けて観光資源とすることも今後の課題だ。

■ 松くい虫被害も拡がっている。ライトアップの功罪も議論されている。

水質悪化の一因に農業排水も影響している。

■ 若林区のまちづくりの中では貞山運河のことまでは話題が進んでいない。

津波で流された所という事実も踏まえながら、広々としたスケールの大きな魅力を多くの人に知ってもらいたい。“絞り込む”ことも必要だろうが、もっと広く“生活の場から見た貞山運河”という話も続けていきたい。

■ 県の河川課が計画を持っているのが心強い。行政との結びつきを保ちながら進めていきたい。

■ 現在の貞山運河を歩くと惨憺たる状態だ。その姿をこの目に焼き付けておきたい。ぜひ皆さんも歩いてみてほしい。



 

 

 

******** 防災機能 *********

■ 観光資源としてだけではなく、津波のクッションになるなど防災面でも役立つのではないか。

■ 下水道の雨水排水機能の不十分さが貞山運河にも悪影響を与えている。内陸と海とを切り離しては考えられない。住む場所についても、住民ひとりひとりの意向を聴いていくことが必要だ。

■ 貞山運河の防災機能としては、津波もさることながら“雨水排水施設”“農業排水施設”としての基本的な機能を忘れてはならない。

■ その基本機能を最優先としたうえで、その上に立っての“利活用”であるべき。



報告:いま、貞山運河を考える会

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