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いま、貞山運河を考える

2011年 第2回

■ 日時:2012 年 8 月 3 日(水)18:00−19:30
■ 会場:せんだいメディアテーク 1f オープンスクエア

■ コーディネーター:
上原啓五(作庭舎)
本江正茂(東北大学大学院工学研究科 都市・建築デザイン学講座 准教授)

■ 参加無料、申込不要、直接会場へ

■ 問合せ:せんだいメディアテーク

tel 022-713-4483

e-mail office@smt.city.sendai.jp

 

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被災地を貫く貞山運河(ていざんうんが)。
木曳堀、新堀、御船入堀、東名運河、北上運河からなる貞山運河は、
旧北上川河口から阿武隈川河口までを結ぶ日本一長い運河であり、
慶長2年(1557年)から明治17年(1884年)にかけてつくられた、
宮城県の誇る歴史遺産です。

かつてこれらの運河は、それぞれに異なる役割を持ち、
藩米や木材などの輸送のために、
また野蒜築港運用のために開削されたものでしたが、
近年では、農業用排水路、ボートの係留地として、
またサイクリングなどレジャーに活用される、地域住民のいこいの場でした。

これまで貞山運河に関わりのあった人、
震災後、初めてこの場所が気になりはじめた人、
それぞれの立場から、いま、貞山運河に思うことを話しあってみませんか。

※ここでいう貞山運河とは、北上運河、東名運河、御船入堀、新堀、木曳堀を指す

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2011年 第2回 いま、貞山運河を考える レポート

2011 年 8 月 3 日(水) 「いま、貞山運河を考える」の第2回目が開催されました。
前半は第1回で出た「貞山運河の“ふるさと度”を考える」というテーマを取り上げ、
参加者全員が貞山運河について、あるいは自らのふるさとの原風景について語り、
なぜこの会に参加したのかという想いを共有しました。
ここではこのテーマを投げかけた参加者のお話を掲載します。


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前回の話し合いの際に、「自分はまた貞山運河で暮らし、そこで死にたい」といった発言があり、「ふるさと」といったものについて考えさせられました。

よく、国内や海外に旅行に行って初めて出会う風景に妙に懐かしさを覚えたりすることがあります。昔、トルコとシリアの国境沿いにあるシャンル・ウルファに行き、砂吹雪のなかで逞しく生きている人々の姿に妙な懐かしさを覚えた記憶があります。そこは自分のふるさとのような気がしました。もちろんそれは、単にその風景が好きだからといった薄っぺらな意味においてではありません。
それが自分の原風景のような気がしました。もちろん、トルコのシャンル・ウルファは自分が育った山口県とは似ても似つかない環境です。にも拘らず、なぜ自分はその場所に「ふるさと」を感じたのか…実は、その頃からそもそもふるさととは何なのかと考えるようになりました。
そこには、なにかふるさとと呼びうる、つまりはふるさとを形成する普遍的な要素というか要件があるのではないか、と思ったのです。
前回、同じグループにいた方の発言から、その問題が再び自分の中に呼び覚まされました。貞山運河は、もしかすると宮城の人だけでなく、多くの人にとってのふるさとになり得る要素を備えているのではないか…。
ここでは、その要素の強さを「ふるさと度」と勝手に呼んでみました。

よく、ふるさとは原風景といった切り口から語られることがあります。前回私が参加したグループの中にもそのような発言がありました。
原風景とは原体験におけるイメージで、風景のかたちをとっているものという意味です。そして、そのイメージとして現れてくる原体験とは、その人の思想が固まる前の経験で、以後の思想形成に大きな影響を与えたものということのようです。
自分の原体験…つまりそこで生活をし、子孫を残し、子どもを育て、伝統を受け継ぎ、それを発展させ後代に繋ぎ、一時的にそこを離れても常に自分の傍にあり、最後にはそこで死に、葬ら(おくら)れたいとまで思う場所…それがふるさとと呼べるものなのかもしれません。前回の参加者の発言の「そこで死にたい」にはそういった感覚があるように思います。
ふるさとには、そういった生の豊かな循環システムと自然との共生といった要素が何かしら関わっているのではないでしょうか。だから我々は、生死に関するプリミティブな儀礼様式の中に妙な懐かしさを憶えるのかもしれません。ふるさとは、だから自分の出身地と言った特定の場所に限定して考えるべきではないのです。さらに、そういった、生死に関する循環システムの文脈で、貞山運河だけでなく、沿岸部を含めた宮城全体の復興を考えるべきだと感じています。
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後半は分科会を行いました。
第1回の1行企画をもとに8つのテーマが設定されました。

・物語を掘り起こす
・海の見える宅地
・水路の駅
・劇場化
・儲ける
・瓦礫を活かす
・トライアスロン
・しじみ汁
参加者は興味のあるテーマのテーブルに着き、そのテーマで語り合いました。
各テーブルでは沢山のユニークなアイディアが飛び交い、また、多様な視点で語られていたのですが、発表時にはすっきりと整理され、以下のような意見としてまとめられていました。

テーマ1:「物語を掘り起こす」
・貞山公、政宗が生きていたらどう考えるかに想いを馳せて地域史を大切にしたい。
・貞山運河には一言では語りつくせない、複雑さと巨大さがある。また、さまざまな切り口があると思う。
・そもそも、なぜこの運河に魅かれるのか?を掘り下げていきたい。
・龍神など水の神様から読み解く。
テーマ2:「海の見える宅地」
・「見える」とは誰のため?元々の住民は望まないのではないか。
・「対津波」の構造を考えるきっかけになるのではないか。
・津波対策を考慮した建築設計を考える。それらの建築群からなる景観は地域の特色となる可能性がある。
テーマ3:「水路の駅」
・舟運可能な水路の復活を基本に置く。
・高速道路と海岸線の間を公園化し、経済的効果を生む施設を設け、貞山掘を復旧保存する。
・水路の駅はそのための施設の一つとする。
テーマ4:「劇場化」
・高台や公園のような機能を持つピラミッドをつくる。ピラミッドに登ると貞山運河と海が見渡せる。
また、登ると恋愛が成就するという都市伝説(ストーリー)をつくり、仙台のデートスポットにし、集客を得る。
テーマ5:「儲ける」
・“貞山堀寺”を新設し、ペット供養とお墓で儲ける。また、住職を募集する(高齢者に限る)
・貞山堀を活用(再生)した舟下りツアーを行う。舟から見える景観は伊達政宗時代(江戸時代)を思い起こされるものとしたい。
また、そのツアーでは地元で採れる魚介類、新鮮な野菜を利用したレストランを利用させる(地元経営者レストラン)。新設の地下鉄 荒井駅から貞山堀まで定期バス等の運用する。
・ハマボウフウ。今では少ないが、昔から食用や消臭剤などに利用されてきた植物を再生させる。
・ボート競技場(2020 olympic会場)として活用する。
テーマ6:「瓦礫を活かす」
・夢の島をつくる。瓦礫を沖合に持っていき、複数の人工島をつくる。
またそれらは津波が来た際には波の勢いを弱める減災の効果もある。
・貞山運河を埋める。
・住宅、道路のかさ上げに使う。
最後、黒板には、貞山運河と関係する諸団体の名称が書き込みされました(このイベントの参加者のご所属の団体名称を書きこんでいただき、そこでヒアリングしながら相関図を作成したいと考えていたのですが、時間の都合上そこまで至らず、名称を残すに留まりました。)

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