考えるテーブル

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せんだいメディアテーク
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てつがくカフェ

第42回 「対話ってなんだろう?」(要約筆記つき)

■ 日時:2015 年 2 月 22 日(日)14:00−16:30
■ 会場:せんだいメディアテーク 1fオープンスクエア
■ ファシリテーター:西村高宏(てつがくカフェ@せんだい)
■ 参加無料、申込不要、直接会場へ
■ 問合せ:022-713-4483(せんだいメディアテーク企画・活動支援室)
■ 主催:せんだいメディアテーク、てつがくカフェ@せんだい
■ 助成:一般財団法人 地域創造
《今回の問いかけ》

震災以降、せんだいメディアテークでは「考えるテーブル」という場を開き、様々なテーマをもとに参加者のみなさんと対話を重ねてきました。
今回は、考えるテーブルの今年度の取り組みを冒頭で紹介します。その後、ホストをつとめた市民のみなさんに、実際に行ってみて感じたことを振り返っていただきます。
“対話の場“で積み重ねてきたもの、得られたこと、難しかったことはなにか。さらには「そもそも対話とはなんなのか?」を集まったみなさんで考える時間にしたいと思います。

 
▼話題提供(予定)
てつがくカフェ@せんだい / NPO法人20世紀アーカイブ仙台 / みやぎ民話の会「民話 声の図書室プロジェクトチーム」 / こけしぼっこ / 宮城県4Hクラブ / 宮城アナログ文化協会

 

《てつがくカフェとは》
てつがくカフェは、わたしたちが通常当たり前だと思っている事柄からいったん身を引き離し、そもそもそれって何なのかといった問いを投げかけ、ゆっくりお茶を飲みながら、「哲学的な対話」をとおして自分自身の考えを逞しくすることの難しさや楽しさを体験していただこうとするものです。
てつがくカフェ@せんだい http://tetsugaku.masa-mune.jp

第42回てつがくカフェ「対話ってなんだろう?」レポート

今回のてつがくカフェは、年に一度開催されるとしょかんメディアテークフェスティバルの一環として開催されました。

テーマは「対話ってなんだろう?」。2011年5月からせんだいメディアテークが対話の場としてひらいてきた「考えるテーブル」では、さまざまな市民協働団体から持ち込まれたプロジェクトを展開していくなかで、これまで一般の参加者の方々と膝を交えて多様な対話を重ねてきました。その過程で見えてきたこと、感じていることなどを協働者のみなさんに話題提供してもらいながら、捉えるのがむずかしい〈対話〉について掘り下げてみたいというのが今回の目的でした。

まずは、協働団体から話題提供。

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県内の若手農家が主催している「ヤングファーマー農宴」からは、「〈対話〉とは“生産者”や“消費者”など立場を越えて人と人が出会うことではないか」「だからこそ〈対話〉はとてもむずかしい」という意見があがりました。

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口承で伝えられてきた伝承民話に触れながら、聞き語る関係性を探求する「民話ゆうわ座」からは、「自分のこれまでもっていた知識や考えを抑え、まずは相手の話を聞きたいという態度で相手に向き合うと、〈対話〉の扉がひらかれるのではないか」「〈対話〉は目の前の相手だけでなく先祖との間でも起こりうる」というようなことも話されました。

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また、世代やジャンルを超えて音楽について対話する「くろい音楽室」からは、「まずは世代の感覚や個々の好みなどの〈違い〉を認識することから〈対話〉は始まるのではないか」「〈対話〉には、言葉だけでなく相づちなどリズムをつくっていく言葉以外のものも重要だ」という話題も出ました。

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この場のファシリテートも担い、日々の事柄について対話を通して問い直す「てつがくカフェ」からは、「〈対話〉は普段のおしゃべりとは違う」、「相手がたとえ自分と違う考えの持ち主でも否定せず、話の安全圏を確保することで、その人が本来話したいことが引き出されてくる」「〈対話〉はディベートのように自分の考えを最後まで押し通すこととは違って、相手とのやりとりを通じて自分の考え方が変化していくことがよしとされる」というようなことも話されました。

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話題提供の後は、会場にいらっしゃる一般の参加者の方々も交えて話し合っていきます。ある方は「発達障がいをもっているので、人とのコミュニケーションがとてもむずかしいと日々感じている」と語られ、ほかにも「人に考えを伝えるというのは、とてもエネルギーがいる」、また「ことばは言霊というようにその人の魂が宿っているし、声にはその人の個性や人間味が現れる」という意見や、「対話は噛み合っていないといけないのか?」というような疑問が投げかけられました。

後半は、みなさんから寄せられた意見をもとにキーワードを抽出する時間です。 ここでは「コミュニケーション/会話/対話は、それぞれどう違うのだろう?」という言葉の定義に関して、「自己認識なくしては、対話は始められない」「“アリ地獄と愛”という言葉を連想した。相手のことを知りたいという興味〈愛〉をもとに、自分の考えのうねりの中に引きずり込む(または相手のうねりの中に積極的に自分を差し出していく)能動性〈アリ地獄〉が対話のイメージに近く、興味のない相手とは対話はむずかしい」といった意見もあがりました。

最後にこれまでのやりとりから、「対話ってなんだろう?」という問いに対して、ここに集まった人のなかで応答していきました。

会場からは、〈対話〉の定義として次のようなものがあげられました。

・その場に集まった人のなかで成立するもの
・世界との接続である
・相手を理解することである

さらに、その〈対話〉が可能になる状況としては、次のようなことがあげられました。

・無条件の肯定
・はっきりとした問いが投げかけられること
・自己認識を磨いていくことで世界を知ること

これらの定義や成立条件などは、どこの辞書にも載っていない、この場で練り上げられたオリジナルです。

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〈対話〉という、日常的に使いながらも、なかなかその姿を捉えにくい行為について、個人の考えから出発し、相手の言葉を聞きとりながらこのようにじっくり向き合っていく時間は、とても貴重でした。
そして、「対話ってなんだろう?」への応答もやはり、このような集団で聞き語ることの延長でしかできなかったとも思います。

次年度も、ここで現れた〈対話〉の定義を活かしながら「考えるテーブル」を実施していきたいと思います。

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報告:清水チナツ(せんだいメディアテーク 企画・活動支援室)

写真:越後谷 出

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