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てつがくカフェ

第43回 「震災と音楽」

■ 日時:2015 年 3 月 29 日(日)15:00-17:00
■ 会場:せんだいメディアテーク 7f スタジオa
■ ファシリテーター:辻 明典(てつがくカフェ@せんだい)
■ 参加無料、申込不要、直接会場へ
■ 問合せ:tanishi@hss.tbgu.ac.jp(西村)
■ 主催:せんだいメディアテーク、てつがくカフェ@せんだい
■ 助成:一般財団法人 地域創造
《今回の問いかけ》

わたしたちの日常には、音楽があふれています。
街で路面に並ぶお店の前を通るとき、ふと懐かしいメロディーが聞こえてきて、心がはずむような気持ちになったり…散歩をしながら、思わずお気に入りのメロディーを口ずさんでいる自分に気づいたり…子どものころ、枕元で母親にせがみ、子守唄をうたってもらいながら、眠りについたり…。
誰しもが、生活のなか、人生のなかで、さまざまなかたちで音楽とつきあっているのではないかと思います。

 

では、震災後のわたしたちは、音楽とどのようにつきあっていたのでしょうか。先が見えないような、不安に押しつぶされそうな日々のなか、すがるような思いで、救いを求めて、音楽に耳を傾けた方もいるでしょう。また、大切な人を慰めるために、歌を捧げたという方もいるのではないでしょうか。
一方で、茫然自失で現実に立ちすくみ、震災後の日々を送ることにただただ精一杯で、音楽を聴く気になんてなれなかったという方もいるでしょう。自分よりも大変な思いをしている人がいるのに、音楽を楽しむなんて…、そんな思いを抱いた方もいるかもしれません。

 

震災後、わたしたちは音楽になにを求め、なにを託したのでしょうか。あるいはなぜ、音楽を聴く気になれなかったのでしょうか。
今回のてつがくカフェでは、震災と音楽をめぐる対話のなかで、わたしたちと音楽との関係性、わたしたちの生について、みなさまと一緒に問うていくことができればと思っています。ぜひ、ご参加ください。

辻 明典(てつがくカフェ@せんだい)

《てつがくカフェとは》
てつがくカフェは、わたしたちが通常当たり前だと思っている事柄からいったん身を引き離し、そもそもそれって何なのかといった問いを投げかけ、ゆっくりお茶を飲みながら、「哲学的な対話」をとおして自分自身の考えを逞しくすることの難しさや楽しさを体験していただこうとするものです。
てつがくカフェ@せんだい http://tetsugaku.masa-mune.jp

第43回てつがくカフェ「震災と音楽」レポート

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震災以降の経験から、音楽について語るべきことがまだまだある。やっと、わたしたちと音楽の関係性について考えはじめることができた。今回のてつがくカフェは、そのような〈思い〉が言葉の端々から感じられる、そんな2時間でした。

前半は、「震災と音楽」にまつわるお話を、参加された方々に語っていただきました。そして、一つひとつのエピソードにひそんでいる言葉を拾い上げ、その意味を少しずつ掘り下げていきました。

写真2写真3

ある方は、「避難所の中には、人と人とを隔てる、見えない壁のようなものがあった。ある避難所で音楽を奏でたとき、見えない壁を越えて、みんなが音楽にのってきた」と語りました。音楽は、人と人との隔たりを壊すための〈道具〉になりうるという考えです。また、ある方は、「震災後、音楽を聴いて涙したことがあった。音楽は、自分の感情を解放してくれるものではないか」と、静かに語りました。人間の存在そのものに直接訴えかけてくるもの、そして、わたしたちを直接にゆさぶるもの、それが音楽なのかもしれない、と。

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こんな発言も印象的でした。
「震災直後のころ、音楽を奏でることは不謹慎ではないか、という思いがあった」

もしかしたら、音楽は本質的によいものだ、という前提がわたしたちにあるかもしれないけれど、よい部分ばかりとは言い切れないのではないか、という考えです。はっとさせられる発言でした。今回、このような視点に立った発言はあまりありませんでしたが、わたしたちと音楽の関係性を考える上で、非常に重要な意見であったと思われます。

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後半は、それまでに語られた言葉をもとにキーワードを挙げ、「問い」を練り上げていく時間です。ここでは以下の問いがつくられました。

・音楽は、衣食住より上か下か?
・音楽には(極限状態のときに出てくる)、我々には認識できない力があるのではないか?
・生きるために音楽は必要か?(ここでいう「生きる」とは、どういう状態を指すのか?)

今回の対話は、まだまだ問うていく可能性を感じられるものでした。あらためて、「震災と音楽」にまつわる経験、考えについて言葉を交わし、わたしたちと音楽の関係性について、みなさんと〈ともに〉考えていきたいと思っています。

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報告:辻明典(てつがくカフェ@せんだい)

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