考えるテーブル

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てつがくカフェ

第44回「〈これから〉の問いを考える」

■ 日時:2015 年 5 月 17 日(日)15:00-17:30
■ 会場:せんだいメディアテーク 7f スタジオa
■ ファシリテーター:綿引 周(てつがくカフェ@せんだい)
■ 参加無料、申込不要、直接会場へ
■ 問合せ:tanishi@hss.tbgu.ac.jp(西村)
■ 主催:せんだいメディアテーク、てつがくカフェ@せんだい
■ 助成:一般財団法人 地域創造
《今回の問いかけ》

考えるテーブル「てつがくカフェ」は、参加者のみなさんの協力もあり、今回で無事に5年目を迎えることができました。

これまでの4年間、黒板色のテーブルを囲みながら、本当に様々な対話が交わされてきました。それらは記録され、文字に起こせばきっと膨大な量になるでしょう。とはいえ貴重な記録も、記憶も、整理してはじめて意味が見え、今とこれからに生きてくることがあります。
今回は、参加者のみなさんとこれまでの対話の内容を振り返りながら、これからの1年間、「てつがくカフェ」でどんなテーマを取り上げるべきかを話していきます。特に今年は一本の軸となるものを設定し、その軸に沿って対話を積み上げていくイメージを大切にしていきたいと考えています。そのイメージを参加者のみなさんと共有しながら、これまでとこれからの対話そのものについて、今までのように活発な対話をしていければと思います。

綿引 周(てつがくカフェ@せんだい)

《てつがくカフェとは》
てつがくカフェは、わたしたちが通常当たり前だと思っている事柄からいったん身を引き離し、そもそもそれって何なのかといった問いを投げかけ、ゆっくりお茶を飲みながら、「哲学的な対話」をとおして自分自身の考えを逞しくすることの難しさや楽しさを体験していただこうとするものです。
てつがくカフェ@せんだい http://tetsugaku.masa-mune.jp

第44回てつがくカフェ「〈これから〉の問いを考える」レポート

写真1

今回で考えるテーブル「てつがくカフェ」は5年目を迎えました。

メディアテークと協働でこの場を開いて以来、わたしたちスタッフだけでは掬いきれない問いがいかに多いかを実感し続けてきました。この実感を踏まえ、今年度初回のてつがくカフェでは、スタッフのみによるテーマ設定の限界を打ち破ることを意図しつつ、このテーマを選びました。とはいえ、このテーマを選んだのはそれだけが理由ではありません。「〈これから〉の問い」というテーマをもとに、ここ仙台でどのような対話が展開されるのかということ自体が、興味深くもありました。

写真2

対話は、これまでてつがくカフェで取り上げてきたテーマや対話の中で印象に残った言葉などについて振り返るところから始め、徐々に「〈これから〉の問い」について考えていく予定でした。しかし、予定通りにいかないのが常のてつがくカフェです。今回集まった参加者のみなさんの中では、これまでを振り返るというよりも「〈これから〉とは何であるのか」という問いかけ、あるいは“問う”こと自体へと反省の眼差しを向ける発言が多かったように思います。

例えば、「〈これから〉を考えるのにはまず、目標ないし理想を立て、そこからの逆算で〈これから〉を考えることもあるのではないか」という、今回の広報文で前提としていたことを覆すような意見がありました。また、この意見に対して「目標を立てそれに沿って行動を進めていくのは、何か“作り上げられたもの”に従うような違和感を覚える」と言う方もいました。ほかにも、「〈これから〉には今から未来へと向かう視点が含まれている」という意見、「〈これから〉と言うとき“これから起こること”が想定されていることがある」という発言がありました。

写真3

〈これまで〉と〈これから〉のつながりについて意見を挙げる方も少なくありませんでした。それらは互いに延長線上にあるのか、違うのか、そもそも〈これまで〉など関係なく〈これから〉のことを考えられるのではないか等々。

また、こうした抽象的な議論の合間に、自身の抱く今現在の感情を具体的に述べて下さった方々もいました。それらの発言をひとまとめにできるとは思いませんが、ある参加者の方の言葉にあったように、震災から4年が経った今も、自分(もしくは仙台にいる人たち、または少なくともその一部)は何かを「引きずって」いて、引きずっているこの何かをもう一度取り上げたいという思いを持っている点で似ていたように思えます。

写真4

時間の関係で明示的に「〈これから〉の問い」をリストアップするには至りませんでしたが、それでも今回の対話の中には、ヒントとなる言葉や問いかけがたくさんありました。例えば、震災後間もなくてつがくカフェの対話の中で挙げられた「負い目」や「罪悪感」、「分断」や「孤立」といった言葉が避けられず用いられていましたし、「語りにくいもの」、「語れないもの」、あるいは「(だからこそ)語るべきもの」への言及もありました。

今回の対話で見られたこうした言葉の傾向から感じ取れる、今の仙台の“気分”とともに、これから1年間のテーマを考えていきたいと思います。

写真5

報告:綿引周(てつがくカフェ@せんだい)

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